研究課題/領域番号 |
22K05166
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三浦 篤志 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90379553)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 光ピンセット / エアロゾル液滴 / レーザー捕捉 / 顕微分光 / 単一液滴 / 単一エアロゾル液滴 / 液滴物性分析 / 物性制御 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は,液体をマイクロメートルスケールのエアロゾル液滴化し気相中に浮遊させるとバルク液体とは大きく異なる物性や特徴を示すことを見いだした。しかし,これが液体の種類に依らずあらゆる液体で発現するか否かは未だ明らかでない。本研究では種々の液体でエアロゾル化により粘度変化や過冷却状態生成が起きるかの検証から物性変化があらゆる液体に普遍的に起きる現象であることを実証するとともに,エアロゾル液滴の示す物性値とその時の物理的条件(粒径,温度,蒸気圧等)との相関を明らかにし,エアロゾル液滴物性制御法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
一般的に液体物性はサイズに依存せずどのようなスケールの液体でも基本的に同じであるとみなされているが,我々は最近,微小な液滴であるエアロゾル液滴がバルクの液体とは全く異なる物性を示すことを強く示唆する結果を得た。これらの結果に基づき我々は,「空気中に浮遊しなにものにも接触していない液体」において「数~十数マイクロメートルまで微小化した液体では液滴粒径に依存して物性が変化」し,「この現象は液体の種類に依らずあらゆる液体で観測され得る」との仮説をたて本研究を進めている。本年度はレーザー捕捉した単一エアロゾル水滴粘度の液滴サイズ依存性の解明をめざし,以下の検討を行った。水滴中にローダミンB(RhB)を溶解させた母液をネブライザーでエアロゾル化し,温度および湿度を制御可能なカスタムメイド測定チャンバー中に導入し,単一水滴を安定にレーザー捕捉した。液滴中のRhBの蛍光の気液界面での全反射により生じるwhispering - gallery mode共鳴スペクトルから水滴サイズをnmの精度で決定するとともに,水滴中のRhBの時間分解蛍光測定を行い蛍光寿命および蛍光異方性から求められる回転緩和時間の測定に基づき水滴粘度を算出した。その結果,バルクの水の粘度(~1.00)に対し,半径4.3 マイクロメートル以下の単一水滴はバルクの水(~1.00 cP)に比べ高い粘度を示した。加えて,水滴サイズの減少と共に液体粘度が上昇すること,および,水滴粘度は液滴半径の逆数に比例することを明らかにした。今回見いだした液滴粘度のサイズ依存性は,水滴/空気界面に発生するラプラス圧および水滴表面層における水の構造の特異性に依るものと考察された。これらの結果をフルペーパーとしてまとめ,現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に検討予定であった単一水滴粘度のサイズ依存性を明らかにし,その研究成果を投稿中であり,当初の計画に沿って概ね順調に進展している。 加えて,次年度検討予定であった種々の液体の室温下におけるエアロゾル液滴粘度の粒径依存性に関しての初期検討も開始できている。いくつかの液体に関しては,次年度以降に検討予定であった蒸気圧制御下での液滴粒径制御実験や雰囲気制御実験等も行えており,研究全般に関して概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き,検討予定の各液体(酢酸,p-トルイジン,m-クレゾール,フェノール等)に関して,室温下におけるエアロゾル液滴粘度の粒径依存性に関して,動的蛍光異方性測定や蛍光寿命測定,偏光ラマンスペクトル測定を行い粘度の粒径依存性の検討を行う。各種液体粘度の粒径依存性に関して総括したのち,申請書に記載の研究計画に従いこれらの液体から数種を選択して蛍光プローブ分子を含有する液滴を調製し,単一液滴における酸塩基性度の検討を開始する予定である。
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