研究課題/領域番号 |
22K05174
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
北村 裕介 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (80433019)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | DNA / ヒドロゲル / アプタマー / 鎖交換反応 / 癌関連繊維芽細胞 / ライブセルイメージング / ドラッグデリバリー / DNAナノヒドロゲル / がん微小環境 / 等温発光増幅 / DNAサーキット |
研究開始時の研究の概要 |
同ナノヒドロゲルは、①細胞膜上のマーカータンパクに応じて細胞膜を透過し、②細胞内のマーカー分子と相互作用した際にのみ発光シグナルを増幅するようにデザインされている。①に関しては、核酸アプタマーで表面を修飾したナノヒドロゲルが、標的膜タンパクへの結合を介し、エンドサイトーシス経路で細胞内に取り込まれる現象を利用する。②に関しては、細胞内のマーカー分子に応じて連鎖的な核酸の鎖交換反応を進行させる仕組みを構築することで達成する。
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研究実績の概要 |
本研究では、がん周辺の微小環境を深く理解するために、高度な細胞識別を可能とする機能性DNAナノヒドロゲルの開発を目的とした。同ナノヒドロゲルは、①細胞膜上のマーカータンパクに応じて細胞膜を透過し、②細胞内のマーカー分子と相互作用した際にのみ溶解するようにデザインされている。①に関しては、核酸アプタマーで表面を修飾したナノヒドロゲルが、標的膜タンパクへの結合を介し、インターナリゼーションで細胞内に取り込まれる現象を利用する。 ②に関しては、細胞内の標的核酸との鎖交換反応によって二本鎖DNAの網目状連結体から成るナノヒドロゲルが分解する仕組みとした。 Y字型の二本鎖DNA(Ya)と直鎖型の二本鎖の粘着末端同士の結合を利用して互いに連結していくとバルクのDNAヒドロゲルが形成する。一方、Y字型二本鎖の粘着末端の一部をアプタマーに置き換える(Yb)と、そこで構造伸長が停止するため、両者の混合比率に応じたサイズのナノヒドロゲルが生成することを昨年度確認した。今年度は、調製したDNAナノヒドロゲルの精製法を検討した。その結果、サイズ排除クロマトグラフィーを用いることで効果的な精製が可能なことがわかった。精製したナノヒドロゲルの大きさをDLSで測定したところ、YaとYbの混合比4:1、1:1、1:2で作成したナノヒドロゲルはそれぞれ約120 nm、105 nm、90 nmのサイズであることがわかった。また、NTAを用いてサイズ分析を行った場合でも同様な結果となった。 腫瘍の間質に存在し、癌関連線維芽細胞の細胞膜上にて高発現する fibroblast activation protein(FAP)に対するアプタマーの候補配列が2つ得られていたが、qPCRを利用した手法を用いて簡易に解離定数を調査した結果、候補配列1で約40 nM、候補配列2で約125 nMであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書通りのペースで進んでいるため
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今後の研究の推進方策 |
得られたアプタマー候補のFAPに対する結合親和性をSPRにて決定する。また、蛍光ラベル化したアプタマー候補を用い、フローサイトメーターやイメージングサイトメーターでCAFsに選択的に結合可能な配列を決定する。 続いて、miR-396強制発現CAFs(miR-396は、植物特異的なマイクロRNAであり、CAFs内で発現していない)を標的とし、抗FAPアプタマー修飾DNAナノヒドロゲルの動作確認を行う。miR-396の発現ベクターを導入したCAFs内でのみ同ゲルが導入され、内部で速やかに溶解することを確認する。その際、ナノヒドロゲルには 抗がん剤であり、自身が蛍光を呈するドキソルビシン(Dox)を内包しておく。細胞導入時、ならびにドラッグリリース時の細胞生存率をMTSアッセイにて確認する。最後に、内在性miR-21に応答するDNAナノヒドロゲルを調整し、同様な実験を行う。
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