研究課題/領域番号 |
22K05175
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
植松 宏平 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (30547584)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | フルオラス溶媒 / フルオラス化合物 / 親フッ素性 / 液 | 液界面電気分析 / 液|液界面 / 電気化学 |
研究開始時の研究の概要 |
フルオラス溶媒は一般に電解質を溶かさないため,電気分析法への適用が困難である。我々グループでは,ある種のフルオラス溶媒が,フルオラス溶媒|水界面の電気分析を可能とし,フルオラスイオンの親フッ素性を容易に評価できることを見出した。またフルオラス溶媒|水界面では,フルオラス溶媒の疎油性により,有機溶媒|水界面とは異なる非吸着性の界面反応場を与える可能性が高い。本研究では,フルオラス溶媒,またフルオラス溶媒|水界面の特異な性質を利用することで可能となる新規かつ有用な電気分析法の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本申請研究では、特異なフルオラス溶媒|水界面反応場を利用した新規電気分析法の構築を目的とする。当該年度では、同目的実現のために、フルオラス溶媒液膜|水界面電気分析法の検討を行った。液膜系での測定法が確立できれば、必要となるフルオラス溶媒量を格段に抑えることができ、測定系の低コスト化や環境負荷低減、またフルオラス相への電気化学的濃縮とこれによる高感度分析への展開が望める。 フルオラス溶媒として1H,1H,5H-octafluoropentyl-1,1,2,2-tetrafluoroethyl ether (OFE)を用い、OFE溶液をメンブレンフィルターに含浸させ、OFE液膜|水界面を形成した。同界面においてサイクリックボルタンメトリーを行い、通常のOFE|水界面と同程度の分極領域が得られることを確認した。種々の無機・有機・フルオラスイオンの移動反応を検討し、これらイオンの可逆なイオン移動波を確認し、溶媒間移行式量ギブズエネルギーを求めた。その結果、OFE液膜|水界面においても、通常のOFE|水界面と同等の親フッ素性を示すことが確認され、親フッ素性を有する液膜系の液|液界面電気分析が可能であることを確認した。 また本研究に関連して、鎖長の異なる直鎖カルボン酸イオンとパーフルオロカルボン酸イオンの有機溶媒|水、フルオラス溶媒|水界面のイオン移動反応の温度依存性を検討した。これよりアルキル鎖(CH2基とCF2基)の有機相からフルオラス相への溶媒間移行反応における熱力学量を求めた。その結果、両者におけるギブズエネルギーの違いが、エンタルピー項ではなくエントロピー項の違いを主として反映した結果であることが確認された。この結果は、フルオラス化合物の特異性(親フッ素性・疎油性)において、エントロピー項の重要性を示唆する点で興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、親フッ素性を有するフルオラス溶媒液膜|水界面電気分析法の構築、またフルオラス溶媒・フルオラス化合物の特異性に関する熱力学的基礎知見を得ることに成功した。よって、研究は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度成功したフルオラス溶媒液膜|水界面電気分析測定系を用いて、フルオラス化合物の選択的高感度分析法の構築が可能か検討する。またフルオラス溶媒液膜|水界面において非吸着性等の特異な界面特性が現れるか、電気化学的検討を行う。
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