研究課題/領域番号 |
22K05179
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
片岡 知歩 (浜井知歩) 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 主任研究員 (70443009)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | リン脂質膜 / 油 / 中性脂肪 / 中性脂質 / 油水界面 / 単分子膜 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内には油滴があり、その界面はリン脂質単分子膜で覆われている。従って油水界面のリン脂質単分子膜は生物学的に重要である。本研究では、油水界面のリン脂質単分子膜の構造を解明し、膜構造を決定する因子を明らかにする。 実験では、リン脂質二分子膜からなるベシクルを油水界面へ吸着させ、モデル単分子膜を形成する。そして界面張力計や蛍光顕微鏡などを用いて、単分子膜の構造を研究する。油とリン脂質の種類を変化させて研究を行い、油とリン脂質の性質が膜構造とどのように相関しているかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、脂肪滴界面でのリン脂質と中性脂肪の間の相互作用を明らかにしたいと考えている。脂肪滴は、細胞中の小胞体リン脂質二分子膜から発生することが知られている。始めに、リン脂質二分子膜内で中性脂肪が合成され、中性脂肪の濃度が臨界値を超えると、二分子膜内で中性脂肪が油滴を形成すると考えられている。この油滴は、2枚のリン脂質単分膜子に挟まれた構造を持つと考えられている。このような脂肪滴発生初期の油滴の物理化学的性質は未解明である。そこで、脂肪滴発生初期の油滴の構造をガラス上に人工的に再現し、蛍光顕微鏡を用いてその物理化学的性質を調べることができるか、検討した。始めに、ガラス表面上にリン脂質二分子膜を形成し、トリアシルグリセロールの油滴を添加した。そして、油滴への暴露後、リン脂質二分子膜が油滴を取り込むことを明らかにした。さらにそれぞれの油滴がオストワルド熟成を起こすことを発見した。すなわち、油滴中のトリアシルグリセロール分子は、リン脂質二分子膜内を横方向に自由に拡散し、拡散を介して油滴の大きさと数密度が変化する。 上記の研究では、モデルリン脂質膜として基板上に形成した二分子膜を用いた。基板上の膜は、表面分析装置を用いて容易に研究することができる便利な実験系であるが、基板からの膜の性質への影響を無視することができないという欠点がある。そこで、基板からの影響を取り除くため、モデルリン脂質二分子膜として巨大ベシクルを用いる研究を開始した。巨大ベシクルを油滴に暴露し、油滴を膜内に取り込ませる。そして、共焦点顕微鏡を用いて、油滴の取り込みによって引き起こされる巨大ベシクルの構造変化を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固体表面の上に形成したリン脂質二分子膜に中性脂肪の油滴を埋め込むことができ、油滴がオストワルド熟成を起こすことを証明した。新しい現象を発見し解析することができたので、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
油相にトリアシルグリセロールやコレステロールエステルを用いて、リン脂質膜と中性脂肪の相互作用を研究する。巨大ベシクルのリン脂質二分子膜内に油滴を埋め込み、共焦点顕微鏡を用いて、油滴/リン脂質二分子膜間の相互作用を研究する。また、ラングミュアトラフを用いて、リン脂質単分子膜内での中性脂肪分子の挙動を調べる。
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