研究課題/領域番号 |
22K05182
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
仙北 久典 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50241360)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 電解カルボキシル化反応 / 二酸化炭素 / 有機電解合成 / α-フェニル-β-アラニン / β-フェニル-β-アラニン / アスパラギン酸誘導体 / 芳香族置換エナミド / 環境調和型合成 / 二酸化炭素固定 / β-アミノ酸 / 資源の再利用 |
研究開始時の研究の概要 |
炭素資源の再利用・二酸化炭素の有効利用ならびにSDGsへの積極的な参加が叫ばれる中、 有機合成を含めたものづくりは環境に配慮・調和しつつ持続可能な手法により行われること が求められている。本研究では、環境調和型有機合成反応である有機電解合成法を用いて二酸化炭素をカルボキシル基の炭素源として利用し、アスパラギン酸誘導体を含むβ-アミノ酸を、金属試薬を用いることなく効率よく合成することを目的としている。目的通りの成果が得られれば、新規環境調和型の合成プロセスとして有機合成化学やグリーンケミストリー、炭素資源の再利用化など多方面に大きな波及効果が見込まれる。
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研究実績の概要 |
アセトフェノンより文献既知の手法によって相当する芳香族エナミド(α-アセチルアミノスチレン)を合成した。合成したエナミドを基質として支持電解質を含むDMF中、白金陰極とマグネシウム陽極を備えた一室型セルを用いて常温にて二酸化炭素をバブリングしながら定電流電解を行った。その結果、エナミドのアルケン部位の炭素原子それぞれに二酸化炭素が固定化されたジカルボン酸であるアスパラギン酸誘導体が生成していることを確認することができた。生成物の水溶性が比較的高いため分液操作での水を用いる洗浄が十分に行えないため、生成物はDMFならびに支持電解質であるBu4NBF4との混合物として得られた。種々反応条件を検討した結果、1H NMRにおいて内部標準を用いた収率は79%であった。その他、各種芳香族メチルケトンより合成したエナミド類に関しても同様の電解反応により相当するアスパラギン酸が得られることを確認したが、ジカルボン酸として単離精製することは困難であった。そのため、生成したジカルボン酸を無水酢酸で処理することにより相当する酸無水物とすることで単離精製を試みている。 一方、2-アミノ-1-フェニルエタノールから既知法により2段階で得られるN-Boc-2-フェニルアジリジンを二酸化炭素存在下に電解還元するとβ-アミノ酸であるα-フェニル-β-アラニン誘導体が得られるが、出発物質のアジリジン合成には強塩基性条件が必要であることや原子効率が低いことなどを考慮し、2-アミノ-1-フェニルエタノールのアミノ基をBocで保護しアルコールをアセチル化した基質を用いて電解カルボキシル化を行ったが相当するカルボン酸の収率は低かった。アセチル基をトリフルオロアセチル基に変えて反応条件を精査したところ、収率77%で相当するβ-アミノ酸であるα-フェニル-β-アラニン誘導体が得られることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エナミドの電解ジカルボキシル化反応は、生成物の単離精製には至ってはいないものの、相当するアスパラギン酸が収率良く生成していることを確認しているとともに、様々な基質を用いても同様の反応が進行していることは確認済である。また、アスパラギン酸誘導体は水溶性が高く、分液操作での塩基抽出を用いる従来法では単離精製が困難であったが、粗生成物を酸無水物とすることで単離精製の方法にもおおよそ目途がついている。 また、α-フェニル-β-アラニンの合成に関しても、アジリジンを経緯する合成法と比較して、より温和で原子効率の高い合成ルートを確立することができた。 以上のことから、研究計画に特段の遅れはなく、おおむね順調に進展していると判断することができる。
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今後の研究の推進方策 |
エナミド類の電解ジカルボキシル化反応によるアスパラギン酸類の合成に関しては、反応条件ならびに基質適応範囲の検討は1H NMR収率での検討をおおよそ終えている。今後はDMFと支持電解質であるBu4NBF4を含む粗生成物を無水酢酸で処理することにより酸無水物としてカラムクロマトグラフィーによる単離を検討し、単離収率を決定する。また、水存在下におけるエナミド類の電解モノカルボキシル化によるβ-フェニル-β-アラニン類の合成については、反応条件の検討と単離精製方法に関して検討を行う予定である。 一方、α-フェニル-β-アラニンの合成については反応条件の検討・最適化はとりあえず終了しているので基質適応範囲について検討を行うべく、N-Boc-1-アリール-2-アミノエタノールの一般合成について検討を行い、トリフルオロアセチル化した基質を用いて基質適応範囲の検討を行う予定である。
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