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過酸化水素酸性溶液の製造のための人工光合成システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K05183
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
研究機関弘前大学

研究代表者

阿部 敏之  弘前大学, 理工学研究科, 教授 (20312481)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード過酸化水素 / 酸素還元 / 酸性溶液 / 有機p-n接合体 / 光カソード / 人工光合成 / 過酸化水素合成
研究開始時の研究の概要

水と酸素を原料とした人工光合成型の過酸化水素生産システムを酸性条件で開発する。過酸化水素(H2O2)はクリーンな酸化剤であり、特に酸性のH2O2溶液は化学合成用の酸化剤として需要が高いが、H2O2酸性溶液の生産に関する学術研究は積極的に進められていない。本課題では、効率的な水の酸化サイトおよび酸素還元サイトの構築を基軸とした検討から、H2O2酸性溶液のクリーンでかつ新しい製造法を創出する。

研究実績の概要

過酸化水素(H2O2)はクリーンな酸化剤として知られているが, 現行の工業的製造法は, 多工程である上, エネルギーや化学物質の大量投入を要し, 廃棄物も大量に排出される等, 多くの欠点を抱えている. すなわち, H2O2のクリーンな製造法の確立が待望されている. また, H2O2の酸性溶液は化学合成用の酸化剤として高需要であるが, 同条件でのH2O2生成に関する検討も積極的に行われていない.
金(Au)助触媒を担持したフラーレン(C60, n型)と亜鉛フタロシアニン(ZnPc, p型)からなる光カソード(ZnPc/C60-Au)は酸性条件下で酸素から還元的にH2O2をもたらすことを前年度に明らかにした. また, 上記の光カソードを還元サイトとしたH2O2生成用途の人工光合成システムも例示した. しかし, 同システムにおいては, 酸素還元過程が律速段階であることを特定したため, 光カソードの動的特性の改善が新たな課題となった.
本年度は酸素の二電子還元用助触媒の探索と並行して, 特にZnPc/C60-Au系光カソードの高活性化についても検討を行った. これまで, ZnPc層とC60層の厚さはそれぞれ75 nm, 125 nmを採用してきた. しかし, ZnPc層を保持したまま, C60層の厚さを変更したところ, C60を極端に薄層化した条件(~5 nm)で最大の光カソード活性を示し, 従来比で3~4倍程度のH2O2生成量が見込める結果を得た. C60の薄層化により, 表面までの電子移動距離が短縮され, 電子がAuにトラップされやすくなり, そのため, Au上の定常的な電子濃度が向上したと考察している. また, 光電流の作用スペクトル測定の結果から, 薄層化した場合においても, ZnPcとC60の両者の可視光吸収がH2O2の生成に寄与していることを確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

白金(Pt)助触媒を担持したZnPc/C60-Pt系光カソードは酸性条件下でプロトン還元に対して活性を示し, 効率的に水素をもたらすことをこれまでに報告している. しかし, その際の最適厚さが酸素の二電子還元過程に対しては適しておらず, 新たな調査により, H2O2生成反応に対してZnPc/C60系有機p-n接合体の厚さを独自に設定する必要があることがわかった. この結果により, 3~4倍程度のH2O2生成量の向上が見込める状況に至った.

今後の研究の推進方策

効率的にH2O2をもらたす有機p-n接合体を構築する観点から, 以下の項目を基軸とした研究を推進する.
・新規な有機p-n接合体や助触媒の探索
・ZnPc/C60-Au系において, 光カソード活性がZnPc層の厚さやAu担持量との間に相関を示すか
・H2O2生成に活性な還元サイトを組み込んだ人工光合成システムの構築

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Photocatalytic and photoelectrochemical production of hydrogen peroxide under acidic conditions in organic p-n bilayer/bismuth vanadate system2022

    • 著者名/発表者名
      Kosuke Ikezoi , Mitsuharu Chisaka and Toshiyuki Abe
    • 雑誌名

      International Journal of ELECTROCHEMICAL SCIENCE

      巻: 17 号: 11 ページ: 221143-221143

    • DOI

      10.20964/2022.11.41

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 過酸化水素酸性溶液製造のための有機p-n接合体系光カソードのフィルム厚と活性の関係2024

    • 著者名/発表者名
      坂口唯香、阿部敏之
    • 学会等名
      日本化学会 第104春季年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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