研究課題/領域番号 |
22K05186
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
加納 博文 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (60334166)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 環境負荷低減物質 / アルカリ金属炭酸塩 / ナノ構造化 / ナノコンポジット / 二酸化炭素回収 / 二酸化炭素変換反応 / CCUS / DAC |
研究開始時の研究の概要 |
低濃度CO2ガスからの回収技術の実用化に向けた取り組みと回収したCO2の有効利用について、包括的なシステムを構築するための材料開発を進める。 1)低濃度CO2排ガスや大気中から選択的CO2回収可能な高性能材料の開発を検討する。ここではこれまで研究してきたナノコンポジットをもとに、さらに結晶構造を不安定化させたり、あるいは疎水性ナノ細孔体と組み合わせたりして、低濃度CO2の回収材として適した材料を開発する。 2)回収したCO2の有効利用として、液相におけるカーボン電極を用いたCO2電気化学的還元およびナノ細孔性カーボン触媒によるCO2変換反応について検討する。
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研究実績の概要 |
(1) NaOHとテレフタル酸から得られる塩を873 K~973 Kの範囲で10 K間隔で焼成してNa2CO3と炭素とのコンポジットを得た。湿潤下におけるCO2回収能力、反応速度、および再生反応温度を調べた。その結果、923 Kで焼成したコンポジットが最も良い性能を示し、再生温度が353 Kと低温化できたので、廃熱を利用したCO2回収システムの構築に有望な材料であることを明らかにした。 また、比較的安価なクエン酸とNaOHから得られる塩を923 Kで焼成してコンポジットを得、そのCO2回収特性を調べ比較した。クエン酸からのコンポジットは、同程度の飽和回収容量を示したが、反応速度が遅いという特徴があった。 2-1) 昨年度、CO2の電気化学的選択還元によるエタノール等への変換について検討するための電極を作製した。このCu担持Fe/NC電極を陽極として用い、KHCO3溶液にCO2を吹き込みながら、―1.2 V(vs. Ag/AgCl)を 60秒印加後、―1.4 V(vs. Ag/AgCl)を6時間印加し続けた。その後の溶液の状態を観察した。有機臭はなかったが、濁りがあったり、気液界面に油の存在が観察されたりする結果が得られた。 2-2) 液相におけるナノ細孔性カーボン触媒によるCO2変換反応 昨年度、グリニャール反応についてブロモベンゼンとCO2から安息香酸が生成することを確認した。この反応系に対する活性炭の触媒効果を、アドール社製の活性炭素繊維(ACF)を用いて調べた。異なる5種類のACFの細孔特性を77 Kにおける窒素ガス吸着等温線測定を行い、細孔パラメータを求めた。ブロモベンゼンとCO2から安息香酸が生成する反応の際に、ACFの存在と非存在、および、無細孔性炭素の存在について、生成する安息香酸の収率を評価した結果、ACFが効果的に触媒として働くことが明らかとなった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)については、温度依存性を評価することで、炭酸ナトリウムのカーボンコンポジットの生成機構を理解でき、試薬の混合比や焼成温度の影響を制御することで、より効果的なコンポジットの形成ができるようになった。 2)については、生成した有機物の解析を進めるとともに、改めて電極の調製条件を精査して、最適な条件を探しているところである。 3)については、ACFのナノ細孔がグリニャール反応を促進する結果が得られてきたので、より詳細な条件について、検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)については、順調に進行しており、NaOHとテレフタル酸から調製する条件を確立した。今後、CO2回収プロセスにおける詳細な機構を理解するための実験をするとともに、大気中のCO2回収(Direct Air Capture)に展開していく予定である。 異なる有機酸(例えば、クエン酸)を用いて調製し、これまでのものと比較していくことで、実用的な観点についても検討できる。また、廃棄プラスティックを原料することも、今後検討していく予定であり、実用性の面からの進展を期待できる。 2)については、電極の調製条件を確立し、電気化学還元の反応段階まで進むことができるように試行錯誤が必要であるが、一定の条件はわかってきているので、それをもとに検討していく予定である。 3)については、CO2を有効利用できるグリニャール反応に活性炭素繊維が有効に作用することを見出したので、最適条件を見出す実験を展開する予定である。
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