研究課題/領域番号 |
22K05188
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岡田 敬志 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (30641625)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | PGM錯体 / 形成挙動 / 溶解性変化 / 溶解性制御 / カチオン種 / アニオン種 / セラミックス表面 / 白金族金属 / 錯形成 / 選択溶解 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、セラミックスの活性表面における水溶性PGM錯体の溶解性制御メカニズムを解明する。錯形成現象は、固体(セラミックス+PGMs)-気相(Air)-酸化物融体(配位子)の三相界面においてPGM前駆体の形成、配位子の置換等が連鎖的に生じた結果と予想される。そこで水溶性PGM錯体の溶解性に影響を及ぼす因子(セラミックスの結晶構造、アニオン・カチオン種)を探索するとともに、セラミックス表面での錯形成挙動および溶解性の推移を調べる。さらに水溶性PGM錯体の溶解挙動を追跡し、錯体構造によって溶解速度がどのように異なるのかを調べる。以上からPGM錯体の溶解性制御メカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
セラミックス表面におけるPGM錯体の形成挙動調査において、以下の知見が得られた。KOHやB2O3を含む媒体において、500℃で白金線を加熱し、保持時間を変えながら、白金線表面の状態を観察した。その結果、加熱初期では白金線表面の酸化がみられ、時間が経過すると溶融媒体が白金線内部へ入り込んでいく様子が観察された。このとき、反応容器として使用したアルミナ坩堝の一部が溶融媒体に溶解し、そのアルミナ成分も白金線内部へと移行していることもわかった。同じ媒体中で白金粉末を加熱し、水溶性白金化合物を精製したのち、これを水で溶解し、未溶解残渣を調べた。その結果、未溶解残渣にはアルミナ成分が含まれ、ラマン分光法によりAl-O-Alの架橋構造に起因するとみられるピークが観察された。溶解性変化の挙動追跡においては、加熱温度を500℃から600℃に高め、生成した白金化合物の溶解性への影響を調べた。その結果、加熱温度の上昇に伴い、水への溶解性が低下した。ラマン分光法で未溶解残渣を分析したところ、Al-O-Alの架橋構造に起因するとみられるピークの強度が増加していた。以上より、アルミナ容器を用いたカリウムホウ酸塩媒体中での白金化合物の形成においては、酸化された白金とアルミナ成分の反応が生じる。、それによりAl-O-Alの架橋構造がより多く形成されると、水への化合物の溶解性が低下することが示唆された。これを抑制することを目的とし、媒体中にフッ化ナトリウムを添加することで、水溶性白金化合物の生成量が増加することもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生成物の表面観察からPGM錯体の形成挙動をとらえることができ、生成物中の化学結合状態の分析からも、前者と関連するとみられるデータが得られた。アルミナ成分との反応が進行してしまうと、水に対する白金化合物の溶解性が低下するというデータもあり、上記の定性的な分析データと傾向が一致する。また、フッ化ナトリウム添加によって水溶性白金化合物の生成量が増加するという知見は、アルミナ成分と白金との反応を抑制する効果を示唆しており、反応機構解明に役立つ知見である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、合成したPGM錯体の溶解機構の解明に取り組む。反応媒体にCa(OH)2を加えて、希酸溶解性白金化合物を合成するほか、可能な限り、媒体由来の塩を除いた状態で水溶性白金化合物を合成する。これらの化合物に対して、連続的に液を添加し、溶出成分の経時変化を調べることで溶解機構の解明に取り組んでいく。
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