研究課題/領域番号 |
22K05191
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
小澤 智宏 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70270999)
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研究分担者 |
猪股 智彦 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40397493)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 特殊反応場 / 還元反応 / 修飾電極 / 触媒分子 / 反応場 |
研究開始時の研究の概要 |
持続可能な社会を作り出すために必要なエネルギー問題、温暖化問題を解決するためには、周囲に豊富にある小分子(水素イオンや二酸化炭素)を還元反応により高効率で高エネルギーな状態(燃料や別の化合物に変換可能な炭素化合物)に変換する必要がある。本研究ではこれに貢献するため、触媒分子を捕捉可能な空間を有する還元反応に特化した修飾電極システムの構築を目的とする。分子捕捉空間を作り出すために、嵩高い置換基を持つ電極修飾分子を設計・合成し、その電極の最適な修飾条件や分子捕捉能の検討・評価をおこなう。こさらに触媒分子として、水素生成反応や二酸化炭素分解を触媒可能な分子を導入し、還元反応場としての評価を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、還元反応に特化した特殊反応場を構築することを目的としている。特殊反応場は、電極の表面に還元反応に有利な環境を作り出すことが可能な分子を合成・修飾し、触媒を用いてその場の効果を検討する。そのため修飾分子に加え、触媒分子も本研究で構築する。 2022年度(初年度)は、①電気化学的水素生成を触媒する新規錯体分子の構築と②特殊反応場を形成する修飾分子の設計・合成を目標として挙げていた。 ①新規錯体分子の合成では、2種類の平面型四座配位子とそれを用いた金属錯体分子の構築を実施した。四座配位子については既に合成方法が確立しており、大きな問題もなく合成が完了した。ついで錯体の合成であるが、両配位子ともにポルフィリンやcyclamとよく似た構造であることから、それらが機能を示すことが知られているCo(II)とFe(II)を用いることにした。これらの錯体は、ともにその色変化から金属イオンの配位が確認できるが、現在、生成単離が非常に困難な状況であり、錯体合成のルートや反応条件の改善を試みている。 ②特殊反応場を形成する修飾分子の合成については、修飾分子の基本骨格が既知の合成方法を用いることができたため、次の末端窒素原子のジメチル化においては、よく用いられるホルムアルデヒドを用いた還元アミノ化を実施したところ大きな問題もなく合成、精製することができた。予定よりも早い段階で修飾分子の合成に成功したので、これをFTO(フッ素ドープ酸化すず)電極に修飾することを試みた。末端にエトキシシラノール基とカルボン酸活性エステル基を導入した分子に対して上記で合成した3級アミノ基を有する化合物を用いて縮合させた。ここで調製した電極について、各種分光法を用いて解析したところ、分子に特有な官能基並びに電極表面の近接した場所に窒素とケトン基の存在が確認できたことから、FTO電極表面上に分子を修飾できたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の予定では、金属錯体触媒分子並びに修飾分子の合成の実施並びに完了であった。金属錯体触媒分子については、これまで進めてきた研究の配位子合成法を用いることができたため、配位子合成の段階までは大きな問題もなく進めることができた。しかしながらCo(II), Fe(II)イオンとの錯体生成においては、それら錯体の生成が現場においてうまくできていない。最も大きな問題は、金属錯体の酸素による酸化反応が部分的に進行していることであり、もっと厳密な嫌気条件下での合成・単離操作が必要であると思われる。一方、修飾分子の合成についても既存の合成法を途中段階まで利用できたこと、またホルムアルデヒドを使った還元アミノ化反応も比較的高い収率で得られたことから、2022年度に予定していた修飾分子の合成は完了し、電極修飾まで進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで概ね順調に進んでおり、2023年度はほぼ計画通りに進めていく。若干遅れがちな金属錯体触媒の精製については、合成する環境も含めて詳細に検討する必要がある。嫌気条件で精製がうまくかかる場合にはそれを用いることができるが、もしこの条件でも単離がうまくできない場合には、既存であり、同配位子を用いたNi(II)錯体を触媒分子として評価の対象にする。 一方で修飾電極の調製については、これまで合成も順調に行っており、FTO電極への修飾も実施し分光学的に修飾できていることが示されたので、今後は予定通り、この修飾電極を用いて触媒分子の取り込みの際的条件の探索と還元反応評価を通じて新規電極デバイスの評価を実施していく予定である。
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