研究課題/領域番号 |
22K05192
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
原田 雅史 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (90314525)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 電極触媒 / ナノ粒子 / 酸化物ナノ粒子 / 酸素還元反応 / 酸素発生反応 / 固溶体合金 |
研究開始時の研究の概要 |
有機分子配位子で保護された二元合金(貴金属と卑金属の組合せPt-Co, Pt-Ni等)あるいは三元合金ナノ粒子(相溶性のある2種類の金属とそれらと相溶性のない金属の組合せPtPdM (M=Ni, Fe, Co))の液相合成を行い、得られた様々な組成の固溶体合金の構造・組成解析(STEM-EDS, XRD, XPS)を行う。HERやORR反応における電極触媒としての電気化学特性(CV, LSV, EIS)、回転電極を用いた電子の動的拡散挙動を評価し、反応活性の高い合金触媒の探索と粒子形態の制御法を確立する。in-situ XAFS測定から過電圧印加時の触媒表面の酸化状態や構造歪みを追跡する。
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研究実績の概要 |
有機分子配位子(オレイルアミンやオレイン酸)で保護された二元合金ナノ粒子の高温液相合成を行い、TEM, STEM-EDS, XRD, XPS, XAFS測定等を用いてナノ粒子の合金構造(粒径、形態、分散性)を推定し、水素発生反応(HER)や酸素還元反応(ORR)における電極触媒としての電気化学特性(CV, LSV, EIS)を評価し、反応活性の高い合金触媒の探索と粒子形態の制御法を確立することを目標とした。 令和5年度には、窒素雰囲気下でマイクロ波急速加熱を用いて、貴金属と卑金属の組合せ(例えば、Pt-Co, Pt-Ni等)の二元合金ナノ粒子の液相化学合成に成功した。金属組成比、オレイルアミン/オレイン酸の比を変化させたナノ粒子の構造・組成解析は、XRD, XPS, XAFS測定を用いて行った。酸素発生反応(OER)やORRの電気化学反応については三極式電解槽を用いて行い、一連のCV測定、LSV測定、CA測定、EIS測定から電気化学特性を評価した。 同様にスピネル型二元合金酸化物ナノ粒子触媒(Co/Mn, Co/Ni複合酸化物)を合成し、OERとORR反応活性を系統的に評価した。さらに過電圧印加時の触媒表面の酸化状態や構造歪みの変化をoperando XAFS測定から評価することができた。 今後は、酸性あるいはアルカリ水溶液中での、Pt-CoとPt-Niの二元合金ナノ粒子のHER反応やORR反応を中心に、酸化還元活性、安定性、耐久性等の電気化学特性(CV, LSV, EIS)の評価を行い、電極表面上での電子移動速度や律速段階等の反応メカニズムやダイナミクスに及ぼす合金効果(サイズ効果や結合電子状態)の影響について詳細に検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スピネル型二元合金酸化物ナノ粒子触媒(Co/Mn, Co/Ni複合酸化物)のOERとORR反応活性を系統的に評価し、過電圧印加時の触媒表面の酸化状態や構造歪みの変化をoperando XAFS測定から評価する研究の取りまとめに多くの時間や労力を費やしてしまい、Pt-CoやPt-Niの二元合金ナノ粒子を用いたOERやORRの電気化学反応を十分に実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に合成方法を確立できたPt-CoやPt-Niの二元合金ナノ粒子触媒を用いたHERやORRの電気化学反応について、三極式電解槽を用い、一連のCV測定、LSV測定、CA測定、EIS測定から電気化学特性を評価する。また、回転電極や回転リング電極を用いて動的拡散挙動の解析(例えば、Koutecky-Levich分析)などを行い、合金を構成する金属の違いに由来する反応速度定数(電極表面での拡散律速か電荷移動による反応律速かを評価)および対称性因子等のパラメータを特定する。 特に二元合金電極触媒の電気化学特性として興味深いのは、過電圧印加時の触媒表面の酸化状態や構造歪みの変化であるので、表面金属種と反応物(あるいは反応中間体)間での電子移動過程や微視的相互作用をoperando XAFS測定から評価する試みを始める。さらに、電極反応における酸化還元活性、安定性、耐久性などについても触媒表面の構造変化(構造歪み)と結び付けて明らかにする。なお、XAFSを用いた微視的構造解析は、高エネルギー加速器研究機構放射光研究施設PFまたは高輝度光科学研究センターSPring-8に課題申請を行い、必要とされるビームタイムを獲得する予定である。
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