研究課題/領域番号 |
22K05197
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
田嶋 稔樹 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50361770)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | HF-塩基錯体 / HF-固体塩基錯体 / 有機強塩基 / 固体塩基 / 電解フッ素化 / HF錯体 / フッ化カリウム / 固体酸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、KFと固体酸のカチオン交換反応により定量的に生成したHFに対し、種々の固体塩基を作用させることで新たなHF-固体塩基錯体を合成し、HF-固体塩基錯体の同定、HFの配位数の決定を行う。また、SN2反応をモデル反応とすることで、合成したHF-固体塩基錯体のフッ化物イオンの反応性を評価する。さらに、HF-固体塩基錯体の合成にHF含有廃液を用いることで、廃液に含まれるHFをHF-固体塩基錯体として回収すべく検討を行う。
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研究実績の概要 |
フッ化カリウム(KF)と固体酸(Amberlyst 15Dry)のカチオン交換反応により定量的に生成したフッ化水素(HF)に対して、ポリスチレンに担持されたホスファゼン塩基である2-tert-Butylimino-2-diethylamino-1,3-dimethyl-perhydro-1,3,2-diazaphosphorine on polystyrene(PS-BEMP)を作用させることで、PS-BEMP-nHF錯体の合成を行った。HFとPS-BEMPの反応はわずか10分で平衡に達し、PS-BEMPと反応しなかったHFの量を測定することで、1分子のBEMPに対して3分子のHFが配位したPS-BEMP-3HF錯体が生成していることが明らかになった。 次に、合成したPS-BEMP-3HF錯体の反応性を評価するべく、1-(2-Methanesulfonylethyl)naphthaleneおよび1-(2-Methanesulfonylethyl)naphthaleneの求核的フッ素化(化学的フッ素化)をアセトニトリル中で行った。その結果、何れの基質においても対応するフッ素化体は低収率でしか得られなかった。これらの求核的フッ素化が低収率であった原因として、PS-BEMPがアセトニトリル中で十分に膨潤していなかったことが挙げられる。実際にPS-BEMPの膨潤体積をアセトニトリル中で測定したところ、PS-BEMPはほとんど膨潤しないことが明らかになった。しかしながら、PS-BEMPにHFが配位したPS-BEMP-3HF錯体はアセトニトリル中で大きく膨潤したことから、PS-BEMP-3HF錯体を用いた求核的フッ素化がスムーズに進行しなかった原因は、膨潤が不十分であったためではないことが明らかになった。現在、その他の原因について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り固体塩基-HF錯体の合成に成功し、固体塩基-HF錯体の求核的フッ素化(化学的フッ素化)への応用には反応性に課題があることが明らかになったものの、電解フッ素化への応用については目途が立っているため。
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今後の研究の推進方策 |
固体塩基-HF錯体の電解フッ素化への応用には成功したが、求核的フッ素化(化学的フッ素化)への応用については問題点が明らかになった。均一系の反応に比べて不均一系(固体表面)の反応は反応性が低下することが予想されることから、今後はこのことに焦点を当てて求核的フッ素化の検討を行う予定である。
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