研究課題/領域番号 |
22K05204
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
田村 堅志 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 電子・光機能材料研究センター, グループリーダー (80370310)
|
研究分担者 |
佐久間 博 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (20400426)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 放射性セシウム / 汚染土壌 / 吸着 / 減容化 / ポルサイト / 粘土鉱物 / 微細構造 / セシウム |
研究開始時の研究の概要 |
1)ヒドロキシアルミニウム形成機構の解明:ヒドロキシアルミニウム量を変えた試料を調製し、ヒドロキシアルミニウムオリゴマー化の条件を調査する。 2)理論計算によるヒドロキシアルミニウム層間構造とセシウム固定化予測:粘土層間に形成されたヒドロキシアルミニウムの計算モデルを構築し、実験結果との比較検証しながら吸着安定構造を予測していく。 3)ヒドロキシアルミニウム変質粘土鉱物の吸着特性の把握:MQMAS解析によりCsの原子レベルの吸着配置を推定、上記理論計算と比較検証しながら、安定化の機構を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
想定される汚染土壌中の放射性セシウム(RCs)の安定吸着サイトとして、hydroxy-interlayered vermiculite(HIV)のくさび空間には複数の吸着サイトが存在することから、溶融塩・硫酸処理が効果的なRCs脱離処理法になると考えた。溶融塩・酸処理後の処理溶液中にはRCsが含まれており、この脱離RCsを濃縮・安定化させる方法を検討した。溶出したRCsの回収にあたっては、他の競合イオンの影響が考えられるため、高濃度の競合イオン存在下での一次回収剤の選定が必要であった。今回の検討では、ゼオライトAやゼオライトXよりもモルデナイト(MOR)およびクリノプチロライト(CLI)が一次吸着剤として適していることが判明した。 RCsをMORに一次吸着させた後、その安定化処理のためMORを200℃以上でアルカリ水熱処理してポルサイト(POL)への変換処理を行った。この試料のXRDプロファイルは、MORからPOLへの変換が完全に終了しており、SEM観察ではPOL特有の24面体結晶形態が観察された。また、EDX分析の結果はSi/Alモル比2.0付近を示しており、放射線量分析からRCs移動量を見積もるとほぼ98%以上がPOL中に移動できている。POLの安定性評価は、Cs安定同位体を使用した実験を実施したが、得られたPOLからCs+は、0.6M NaCl中で24時間接触後においても溶出率0.09~2.27%に抑制され、一定の保持安定性を有していることが明らかになった。今回、溶融塩・酸洗浄法により汚染土壌からRCsを湿式脱離させたのち、POL中に濃縮・安定化させることで汚染土壌を効率的に減容化させる手法を確立できた。実際に、福島土壌20gを本手法で処理をした結果、8000Beq/kg以下に除染された浄化土壌と、ほぼ98%のRCsを封入した0.2gの吸着安定体(POL)に分離することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
分析困難な汚染土壌中の放射性セシウム(RCs)について土壌中の安定サイトや吸着構造を知るためには、RCsを様々なプロセスで物質間を移動操作可能なことが重要である。今回、汚染土壌から放射性セシウムを的確に脱離させて、異なるゼオライト、モルデナイトからポルサイトへ98%以上を移動させて安定保管を可能にする技術が確立できたことは大きな進展である。
|
今後の研究の推進方策 |
詳細なRCsの吸着構造の解析を進め、原子レベルのセシウム吸脱着機構を解明する。
|