研究課題/領域番号 |
22K05205
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
杉田 剛 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究職 (80772342)
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研究分担者 |
関根 由莉奈 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究副主幹 (00636912)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 光触媒 / 親水性ゲル / 水浄化 / 光触媒材料 |
研究開始時の研究の概要 |
安全な水の供給や環境保全のための持続可能な水処理技術の確立は、世界共通の課題である。水質汚染の状況や原因物質は多岐にわたり、各々に適した浄化法の確立が求められる。本申請では、簡便に合成でき、ネットワーク構造や吸着特性を容易に制御できる凍結架橋ゲルを光触媒粒子の担体とした新規光触媒材料(光触媒ゲル)を開発し、効率的かつエコフレンドリーな水浄化システムを実現することを目的とする。ゲル内部を光触媒反応場とすることで、これまでの光触媒材料では不可能であった“反応効率と固液分離性の両立”と“選択的光触媒反応”を可能にする。
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研究実績の概要 |
凍結架橋ゲル(FG)の光触媒反応場としての性能を評価するため、20 ppmインジゴカルミン(IC)の脱色反応について、WO3粉末を懸濁させた系(WP)とWO3担持凍結架橋ゲルに通水させる系(WFG)で比較した(WO3量;32 mg)。WPでは、5時間の可視光照射下において26%の脱色率であったのに対し、WFGでは50%に達した。よって、WO3を粉末状で使用するよりも、凍結架橋ゲルに担持して用いた方が高い効率を得られることが示された。これは、FGの有する約150 μmの細孔で構成される複雑な流路に起因すると予想される。また、WFGの比較として、WO3をAgaroseゲルに担持した(WAG)場合では、IC分解率は6%程度であった。これは、WAGと比較してWFGが通水性に優れるためである。また、WO3の等電点以下のpH(pH = 1.3)においてICの吸着及び脱色反応を検討した結果、WFGはWPと比較してIC吸着率が3倍以上、脱色率が約4倍となった。これは、FGにWO3を固定化することで、溶液pHによるWO3粉末の凝集を避けられた為と考えられる。よって、FGへの可視光応答性光触媒粉末の担持は、水質浄化性能の向上だけでなく、浄化する溶液のpHに係る制限の緩和が期待できる。さらに、FGに導入する新しい光触媒の開発を目指し、粘土鉱物の光触媒化を検討した。黒雲母にCaCl2を加えて700から800℃で加熱することで得られた鉱物は、紫外光照射下でCr(VI)の還元とサリチル酸を分解する光触媒として利用できることを明らかにした。しかし、FGに導入可能な可視光応答性についてはさらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由は以下のとおりである。 ①光触媒粉末を凍結架橋ゲルに担持することで、懸濁状態で使用するよりも高い効率を得られることを明らかにした。 ②光触媒担持凍結架橋ゲルは、溶液pHによる粉末材料の凝集を抑制しつつ反応を進行できることを明らかにした。これにより、光触媒だけでなく、吸着材の担持においても優れた性能を有することが示された。 ③粘土鉱物を原料とする光触媒性材料の合成に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
光触媒担持凍結架橋ゲルが、光触媒粉末の懸濁系よりも優れた反応効率を示した要因を明らかにする。具体的には、中性子小角散乱や共焦点レーザー顕微鏡を用いて、凍結架橋ゲルの内部ネットワーク構造を調べ、光触媒反応場としての性能との相関関係を明らかにする。 また、粘土鉱物を原料とする光触媒材料について、凍結架橋ゲルに導入可能な可視光応答性材料の合成について検討する。
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