研究課題/領域番号 |
22K05207
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
河野 雄樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (00772964)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | イオン液体触媒 / 溶解性制御 / 脱水縮合反応 / イオン液体 / 相分離 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまで200℃以上の加熱条件が必要であった、混ざり合わない反応原料を用いた多相系脱水縮合反応プロセスを、温和な条件下で進行可能な触媒を開発する。具体的には、多価アルコールと脂肪酸など、相互溶解度が極めて低い反応原料を対象に、イオン液体触媒の構造設計により反応原料の溶解性を制御し、原料を濃縮可能な「イオン液体触媒相」を形成させ、反応効率向上を目指す。さらに、高活性が認められたイオン液体触媒を高分子化し、高活性を維持しつつ触媒回収操作も容易な不均一系触媒を開発する。
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研究実績の概要 |
エステル化に代表される脱水縮合反応は工業的に幅広く利用される一方、加水分解との平衡反応であるため、転化率向上には加熱等による水の除去が不可欠である。さらに、脂肪酸と多価アルコールなど、相互溶解度が低く相分離する反応原料を用いた多相系脱水縮合反応では、反応性の低さが顕著であり、200℃以上の高温条件で溶解度を高め反応を行う必要がある。本研究では、多相系脱水縮合反応プロセスの省エネ化に向け、イオン液体触媒の構造設計により反応原料の溶解性を制御し、反応効率向上を目指す。さらに、高活性が認められたイオン液体触媒を高分子化し、高活性を維持しつつ触媒回収も容易な不均一系触媒の開発を目指す。 令和4年度は、オレイン酸(OA)とグリセロール(Gly)からの多相系脱水縮合反応を対象に、反応原料の溶解性制御について検討を進めた。まず、反応進行に伴う原料組成の変化を避けるため、触媒機能を持たない種々のイオン液体を用い、反応原料と混合した際の相分離挙動を調べた。イオン液体と反応原料との相分離挙動はカチオン・アニオン構造によって異なり、イオン液体がGly相に溶解する形態(A)、OA相に溶解する形態(B)、イオン液体が新たな相を形成する形態(C)に分類された。各相に溶解する化合物を分析した結果、形態(A)の場合、原料の相互溶解度に顕著な変化は見られなかったのに対し、形態(B)および(C)では原料の相互溶解度の上昇が認められた。具体的には、形態(B)ではOA相に溶解するGlyが上昇し、形態(C)では相分離したイオン液体相にOA・Gly双方が溶解した。この結果は、適切なイオン液体の混合により、反応原料の相互溶解度を向上できることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、多相系脱水縮合における反応原料の溶解性制御技術に関する検討を進め、複数の反応原料/イオン液体混合系において、原料の相互溶解度を向上させることに成功した。イオン液体の構造と原料溶解性に関する基礎的な知見を得ることができたことは、大きな進展と言える。
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今後の研究の推進方策 |
イオン液体の構造設計により、反応原料との溶解性を制御できたため、今後は触媒機能を付与したイオン液体触媒を用いて脱水縮合反応を実施する。イオン液体への触媒機能の付与に関して複数の手法を検討するとともに、反応原料の溶解性と触媒反応効率の関係について整理する。さらに、高効率が認められたイオン液体触媒を対象に、高分子化による不均一系触媒の開発に着手する。
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