• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

垂直貫通ナノチャンネル積層膜を反応場とする光触媒反応系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K05215
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分35010:高分子化学関連
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

浅岡 定幸  京都工芸繊維大学, 材料化学系, 准教授 (50336525)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード光触媒反応
研究開始時の研究の概要

本研究では、我々がすでに開発に成功している、完全垂直配向した高規則性シリンダー型ナノチャネルを有するミクロ相分離膜をテンプレートとして、チャンネル壁面に光増感剤・触媒・電荷キャリアを位置選択的に高密度集積化する手法を確立する。併せてシリンダー内部を触媒反応場あるいは電荷キャリアの拡散経路として、疎水性液晶マトリクス部を光捕集アンテナとして利用する手法を開発する。さらに相分離構造のエピタキシャル成長を通じて、光捕集層・触媒反応系・電荷輸送層を積層・複合化し、互いに独立した励起エネルギー・電荷・化学物質の伝達経路をもつ光触媒反応膜の創製を目指す。

研究実績の概要

(1) 連結点の分子設計:親・疎水鎖の連結点の側方置換基としてアジド基を導入した両親媒性液晶ブロック共重合体(LBC)に対して、3-エチニルピリジンを配位子としてもつReまたはPt錯体をClick反応させることにより、定量的に導入することに成功した。得られたLBCはいずれも表面に対して垂直貫通したシリンダー型のミクロ相分離構造を形成することを確認している。またRe錯体を導入したLBCについては、従来型の主鎖上に導入したピリジルトリアゾール配位子に対してRe錯体を形成させたLBCに比べ、同等以上の二酸化炭素の光還元活性を有していることを確認した。
(2) 疎水性マトリクス部の利用:液晶メソゲンにビフェニルをもつLBCは架橋性を持たないため、架橋点としてスチルベンを一部導入したランダム共重合体を合成し、自立膜の作製を試みた。スチルベンの添加比を検討したが、20%までスチルベンを増やしても自立膜として十分な強度を得ることができなかった。
(3) 親水性シリンダー部の利用:連結点に亜鉛ポルフィリンをもつLBC膜に対して、Ptナノ粒子溶液を透過させ、比較的大きな粒子を表面に堆積させた薄膜を作製した。これに電荷キャリアとなるメチルビオロゲン存在下、水中で光照射を試みたが、現在までに水素の生成を確認することができていない。
(4) 水中での光反応:従来型の主鎖上に導入したピリジルトリアゾール配位子に対してRe錯体を形成させたLBCを用い、水中での二酸化炭素の光還元反応を検討した。数種の犠牲剤を検討したが、いずれの場合も気相中に一酸化炭素を選択的に与え、水素を全く副生しないことを見出した。無機・有機の光触媒によらず、一般に水中での反応では水素が副生することから、本系は特殊なケースであるものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)のLBCの分子設計については合成経路をほぼ確立しつつある。また、今回新たに水中での反応を検討したところ、本系は水素の副生がないという特徴を有していることを見出した。(2)および(3)ではやや進捗が遅れているのものの、(4)により新たな展開が期待されることから、研究は概ね順調に進展しているものと考えている。

今後の研究の推進方策

(1) 連結点の分子設計:これまでの二酸化炭素の光還元触媒、水素生成触媒に加え、光増感剤となるRuビピリジン錯体、および水の光酸化触媒であるMnポルフィリン錯体の導入を進める。
(2) 疎水性マトリクス部の利用:ビフェニルを液晶メソゲンとするLBCの自立膜化については、ビフェニルとスチルベンの吸収波長が重なることから、光架橋が阻害されているものと考えている。カルコンはより長波長側に吸収をもつことから、長波長側の選択励起によって光架橋を検討する。
(3) 親水性シリンダー部の利用:Ptナノ粒子については、一般に水素生成反応の触媒として採用されているものとは異なるK2PtCl4を原料とする合成法を採っているため、十分な触媒活性が得られなかったものと考えられる。今後より一般的なK2PtCl6を用いた合成法に変更する。
(4) 水中での光反応:反応溶媒として有機溶媒を用いないことは環境負荷の面からも望ましいことから、今後さらに水中での反応について実用性の評価を進める予定である。現状の平膜での反応では、照射面積が狭いため反応効率が限定されている。本研究の薄膜は基材の性情によらず「塗って」「熱処理」するだけで再現性よく垂直貫通したシリンダー型のミクロ相分離構造を与えることから、光ファイバー表面にコートする手法や、中空糸膜表面にコートして透過膜として利用する方法を採ることにより、反応効率の向上を目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] フマル酸架橋による垂直配向ナノシリンダー薄膜の精密透水膜への応用2023

    • 著者名/発表者名
      田家沙也香・泉谷佑・浅岡定幸
    • 学会等名
      2023年 繊維学会秋季研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 垂直配向ナノシリンダー薄膜をテンプレートとするレニウム錯体の環状多層集積化2023

    • 著者名/発表者名
      塩川葵子・菰田万喜・谷尾吉祥・中尾慶太・浅岡定幸
    • 学会等名
      2023年 繊維学会秋季研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 一次元ナノシリンダーを反応場とする二酸化炭素還元触媒膜の開発2022

    • 著者名/発表者名
      浅岡定幸・塩川葵子・菰田万喜・中尾慶太・谷尾吉祥
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 電荷移動錯体の光架橋による垂直配向ナノシリンダー自立膜の作製と透水膜への応用2022

    • 著者名/発表者名
      浅岡定幸・田家沙也香・泉谷佑
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi