研究課題/領域番号 |
22K05218
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
三宅 祐輔 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 助教 (20728050)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 流通型電子スピン共鳴(ESR)分光法 / 光誘起可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合 / 光重合開始剤 / 副反応 / ラジカル反応性評価 / 置換基効果 / 可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合 / 反応性評価 / 電子スピン共鳴分光法 / リビングラジカル重合 / 高速流通系 / 可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤 / 反応速度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、リビングラジカル重合法の1種である可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合に対して、開始剤選定が与える影響を明確にすることを目的とする。開始剤より生じるラジカルと重合の精密性を決定づけるRAFT剤との反応をとらえる新たな手法を、流通系を組み合わせた電子スピン共鳴分光装置を用いて確立する。RAFT剤の構造的特徴と開始剤ラジカルとの反応性に相関性を見出すことで影響を抑える系を提案し、RAFT重合の精密性向上に貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度構築した定量可能な測定系を用いて、開始剤ラジカルと複数種のモノマーのESRスペクトルデータの収集、解析を行い、既知データとの比較から反応速度定数の簡易な評価方法の構築に成功した。この手法を用いて複数種類のRAFT剤と開始剤よりリン中心ラジカルとの反応速度定数の評価を行った。その結果、いずれの場合もモノマーとの競争反応なり得る高い反応性を示し、着目している反応が生長反応と競争反応になり得る反応である、すなわち、注目するべき副反応であることを示すに至った。また、量子化学計算を用いて、各RAFT剤の置換基定数を導きだし、実験によって決定したリン中心ラジカルとの反応速度定数との間に相関性を見出した。 RAFT剤の構造、濃度によって異なる信号を示す複雑なESRスペクトルの解析を進め、光重合開始剤ラジカルとRAFT剤より生じる生成ラジカル種の構造の特定および反応比率の解析を進めた。構造のわずかな違いがラジカル生成機構に与える影響を明確に示すデータを得ることに成功した。量子化学計算との比較、NMR分光法を用いた反応前後の構造変化の特定から、精密解析を進め、反応機構の明確化を目指した研究を進めている。 以上の研究テーマについて共同研究者も含め、学会において計6件の発表を行った。また、前者の研究結果をまとめた論文の投稿を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画通り③ 開始剤ラジカルのRAFT剤、モノマーに対する付加反応の速度定数決定を終えることができた。④RAFT剤、モノマーの構造に伴う反応速度定数の変化の探求は2年目に開始し、3年目の中心に据える予定であったが、置換基定数と反応速度定数の相関性を見出した点において、当初の計画を上回るペースで研究が進められている。当初の予定にはなかったNMR分光法の利用やESRスペクトルの精密解析によるラジカル反応機構の詳細に関する議論へと進められていることから順調に進展しているという自己評価にいたった。
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今後の研究の推進方策 |
特にデザイン性の高いトリチオカーボネート骨格構造を有するRAFT剤に焦点を絞り, ラジカル反応速度定数の評価, 置換基効果との相関性のデータ収集を行うとともに, 反応機構の詳細の解明を目指した研究を進める予定である。当初の研究計画の中心である開始剤ラジカルとRAFT剤との直接反応に加え, 生成ポリマーのNMR, GPC測定等を行い, 副反応による生成ポリマー物性への影響の因果関係について追及を行いたい。これらの成果を7月, 11月, 3月の学会で発表すると共に論文としてまとめたい。
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