研究課題/領域番号 |
22K05219
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
下元 浩晃 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (40625597)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ボトルブラシポリマー / ジアゾカルボニル化合物 / ポリ(置換メチレン) / 金属カルベノイド / 機能性ポリマー / グラフト共重合 / ポリ(置換メチレン) / 遷移金属錯体重合 |
研究開始時の研究の概要 |
合成研究については、主に令和4年度に、ポリ(置換メチレン)を幹ポリマーとして有するボトルブラシポリマーの合成について、主に令和5年度に、ポリ(置換メチレン)を枝ポリマーとして有するボトルブラシポリマーの合成について取り組む予定である。また、合成研究と並行して、各種物性測定を行い、本応募研究で目指す“超高密度”構造に由来して生じると予想される特徴的な諸物性の発現機構について詳細に調査する予定である。
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研究実績の概要 |
本研究は、我々の研究グループのコア技術である“ポリ(置換メチレン)合成法”をグラフトポリマー合成へと応用することで、これまでにない幹あるいは構造を有するボトルブラシポリマーを開発することを目的としている。さらに、生成ポリマーの各種物性を詳細に調査することにより、ボトルブラシポリマーにおける構造と物性との関係に関する新たな知見を得るとともに、新規な高機能性ポリマー材料としての応用展開を探ることを目指すものである。 研究初年度であった2022年度は、ポリ(置換メチレン)を幹ポリマーとして有するボトルブラシポリマーの合成に関する研究から着手した。ポリ(置換メチレン)は、sp3炭素単結合で形成される主鎖骨格のすべての炭素上に置換基を有するポリマーであるため、側鎖が密に集積した構造をとる。よって、ポリ(置換メチレン)構造を幹骨格として有するボトルブラシポリマーを合成することができれば、枝ポリマーが“超高密度”に集積したボトルブラシポリマーの合成が可能となり、既存のボトルブラシポリマーを超える優れた物性や機能の発現が期待できる。 合成戦略としては、grafting-from法を採用し、そのために必要な新規マクロモノマーを新たに設計・合成した。その結果、重合開始基として、ビニルモノマーのリビングラジカル重合[原子移動ラジカル重合(ATRP)]が可能な基を有するジアゾ酢酸エステルの合成に成功した。 得られたマクロモノマーを用い、任意の割合でATRP開始部位を有するポリ(置換メチレン)の合成に成功した。その後、このポリマーを幹ポリマーとしてスチレンのATRPを行ったところ、グラフトコポリマーの合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、新たに設計したマクロモノマー(ATRP開始部位を有するジアゾカルボニル化合物)の合成に成功した。また、そのマクロモノマーと他のジアゾカルボニル化合物の共重合より、任意の組成でATRP開始部位を有する幹ポリマーの合成に成功した。一方で、計画ではRAFT基を有するマクロモノマーの合成についても考案していたが、ATRP開始部位を有するジアゾカルボニル化合物の合成およびそれを用いた共重合とグラフト化が想定通り進行したため、まずはATRPの方を重点的に検討することとした。
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今後の研究の推進方策 |
上記に示したとおり、目的とするボトルブラシポリマーの合成に成功した。しかし、一部分子間カップリングに起因するとみられるピークが観測された。そのため、このような副反応が起こらない重合条件の探索を行っていく予定である。 また、さまざまなポリスチレン枝鎖密度のボトルブラシポリマーを合成し、そのガラス転移温度を測定し、ポリマー鎖集積効果について調査・考察する予定である。 また、ボトルブラシポリマー合成の別のアプローチとして、grafting-through法による合成を予定している。この手法においても2022年度に合成に成功したマクロモノマーを用いることが可能であるため、迅速な研究遂行を期待している。
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