研究課題/領域番号 |
22K05221
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
藤田 恭子 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (90447508)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | イオン液体 / 分配制御 / 二相系 / タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでにイオン液体あるいは水和イオン液体を生体分子の利用場とする可能性について実証してきた。今後、広く展開するためには、次の段階としてイオン液体中に溶解した生体分子を変性や大量希釈することなく簡便に水溶液中に移行させる方法の提案が必要である。本研究では、イオン液体/水二相系を用いてイオン液中に溶解したタンパク質の水溶液中への分配制御を提案する。タンパク質、イオン液体、水溶液の3要素の特性が二相形成およびタンパク質分配に及ぼす影響について明らかにし、タンパク質分配制御システムを構築する。
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研究実績の概要 |
今年度は等電点の異なるタンパク質を用いて水和イオン液体中に溶解し、溶解後に水を添加してイオン液体/水の二相系を形成して水相への分配状況を確認した。用いたタンパク質として、4.8から11.2までの間に等電点を有する5種類を用いた。イオン液体にはわずかな水との混合による水和状態でタンパク質を溶解し、多量の水を加えると二相を形成する総アルキル鎖数が異なる3種(Tetraoctylammonium dihydrogen phosphate, Tetraoctylphosphonium dihydrogen phospate, Tetra(decyl)ammonium dihydrogen phosphate)を用いた。それぞれのイオン液体を1イオンペアに対して4分子の水となるよう水和イオン液体を調整し、各種タンパク質と混合した。いずれのタンパク質も水和イオン液体中への溶解が確認され、金属タンパク質では水溶液中と同様の呈色を示した。タンパク質を溶解した水和イオン液体に2倍量となる水を添加することでイオン液体/水の二相系を形成させた後、イオン液体相の含水率をカールフィッシャー測定で観測した。また、それぞれの相のタンパク質濃度を測定するため、BCA法と紫外可視分光法を用いて測定を行った。その結果、タンパク質によって水相への分配率は大きく異なった。等電点の高いタンパク質は、水相への分配率が高い傾向であった。また、イオン液体のアルキル鎖が短く、イオン液体/水二相系を形成後のイオン液体相の含水率が高いものの方が、水相への分配率が高い傾向が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水と二相を形成するような疎水性のイオン液体であるが、水素結合を形成するようなイオン構成を有することで、わずかな水を添加した水和状態で各種水溶性タンパク質を溶解することを確認した。さらに、イオン液体/水二相系を形成するような量の水を加えた後、溶解していたタンパク質の分配について解析を行った。タンパク質の等電点によって水相への分配状況が異なる結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
各種タンパク質を水和イオン液体中に溶解後、水を加えて形成した二相系は界面が安定しずらいものもある。測定条件を確定して、水相へのタンパク質の分配率の再現性を確認する。水相に分配したタンパク質を回収し、構造や活性について解析を行う。さらに、加える水溶液のpHや塩濃度が分配に及ぼす影響についても検討を進め、活性を維持した相関移動を可能にする条件について知見を集積する。
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