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二酸化炭素を利用した可逆的な有機分子集合体の構築法の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K05228
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分35020:高分子材料関連
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

古荘 義雄  滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00281270)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード二酸化炭素 / 塩橋 / アミジン / カルバミン酸 / アミン / アルコール
研究開始時の研究の概要

本研究では、構成成分として二酸化炭素(CO2)を組み込んだアミジン・CO2・アルコール塩橋、あるいはアミジン・CO2・アミン塩橋を用いて有機分子集合体を構築する方法を開発し、CO2ガスの添加/除去による集合状態のon/off制御法を確立することを目指す。さらに、この手法で構築した有機分子集合体の薬物や遺伝子のデリバリーシステムをはじめとする医用材料への展開を目指す。

研究実績の概要

2023年度はCO2ガスの添加・除去による塩橋形成のon/offに基づくネットワークポリマーの構造制御に関する検討を行い、以下の結果を得た。
ヘキサメチレンジアミンとオルト酢酸トリメチルをバルクで加熱し、生成するエタノールを減圧下で除去することにより、ポリ(ヘキサメチレンアセトアミジン) (PAmd6)を得た。1H NMRによる解析から、このPAmd6のMnは2,900と見積もられた。Pamd6と直鎖状のポリエチレンイミン(PEI, Mn 2,500)のDMF溶液(0.02 mol unit/L each)に室温でCO2ガスをバブリングしたところ、瞬時に白濁してゲル化した。このゲルを濾過して室温で乾燥させたもののFT-IRスペクトルを測定したところ、塩橋に特徴的な (i) 1,660 cm-1、(ii) 1,567 cm-1および1,388 cm-1の吸収が観測された。これらは、それぞれ、(i) アミジン基のνC=N+と (ii) カルバミン酸基のνCO2-に帰属され、このゲルがアミジン・カルバミン酸塩橋により架橋されていることを示している。CO2をバブリングして得られた白濁のゲル混合物に、40度でArガスをバブリングしたところ、直ちに透明の溶液に変化した。溶媒を除去して得られた混合物の1H NMRスペクトルより、CO2が除去され、PAmd6とPEIの混合物に戻っていることが確かめられた。
CO2バブリングによる架橋とArバブリングによる脱架橋は可逆であり、何度でも繰り返すことが可能であった。ただし、この系は水分に敏感であり、少量でも水が存在するとカルバミン酸生成反応と競争的に、炭酸が生成し、PAmd6が炭酸塩となり、架橋効率が落ちることがわかった。このことは、N,N'-ジシクロヘキシルアセトアミジンとジブチルアミンを使ったモデル反応でも確かめられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

予想していた以上に、本系が水分の存在に敏感であることが判明した。その原因究明と解決のために多くの時間と労力を費やしてしまったが、可能なかぎり水分を除去した環境下では、ネットワークポリマー形成のon/offが極めて穏やかな条件下で、しかも短い時間で可能であることを明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

これまでに得られた知見をもとに有機分子集合体形成のon/offを進め、DDSへの応用を視野に入れた高分子ベシクル(ポリイオンコンプレックス)への展開を進めていく予定である。可能であれば、アミジンやアミンの構造を変化させて、もう少し水分に強い系を探索する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (8件)

  • [学会発表] 五員環カーボナートとポリオキシプロピレンジアミンとの重付加反応におけるトリアザビシクロデセンの添加効果2023

    • 著者名/発表者名
      多田竜,古荘義雄,遠藤剛
    • 学会等名
      第72回高分子学会年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] エチレンカーボナートとジエチレントリアミンの反応による第2アミンを持つウレタンジオールの合成2023

    • 著者名/発表者名
      キムジュンボム,多田竜,堤治,古荘義雄,遠藤剛
    • 学会等名
      第72回高分子学会年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 五員環カーボナートとポリオキシプロピレンジアミンを原料とするポリヒドロキシウレタンの合成とトリアザビシクロデセンの添加効果2023

    • 著者名/発表者名
      多田竜,古荘義雄,遠藤剛
    • 学会等名
      第72回高分子討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 二官能性五員環カーボナートとポリオキシプロピレンジアミンの重付加反応によるネットワークポリマーの合成2023

    • 著者名/発表者名
      多田竜,佐々木哲平,中辻章,綾洋一,古荘義雄,遠藤剛
    • 学会等名
      第72回ネットワークポリマー講演討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 第2アミンを持つウレタンジオールとイソシアナートとの重付加反応による架橋ポリウレタンウレアの合成2023

    • 著者名/発表者名
      キムジュンボム,多田竜,堤治,佐々木哲平,中辻章,綾洋一,古荘義雄,遠藤剛
    • 学会等名
      第72回ネットワークポリマー講演討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 二官能性五員環環状カーボナートとポリオキシプロピレンジアミンとの重付加反応によるポリヒドロキシウレタンの合成と環状グアニジンの添加効果2022

    • 著者名/発表者名
      多田竜,遠藤剛,古荘義雄,佐々木哲平,中辻章,綾洋一
    • 学会等名
      第71回ネットワークポリマー講演討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] イミド構造を有するエポシキドの添加によるエポキシ・イミダゾール硬化系における熱潜在性と硬化物物性2022

    • 著者名/発表者名
      森康友紀,古荘義雄,遠藤剛,玉祖健一,岡野一平,小川亮
    • 学会等名
      第71回ネットワークポリマー講演討論会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 医療用テープを剥がす際の負担の軽減をめざして2022

    • 著者名/発表者名
      松山峻大,古荘義雄,多田竜,森康友紀
    • 学会等名
      第39回滋賀医科大学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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