研究課題/領域番号 |
22K05235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
早瀬 元 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (70750454)
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研究分担者 |
吉野 大輔 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80624816)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | エアロゲル / モノリス型多孔体 / ゾル-ゲル / 光重合反応 / UV硬化 / ポリメタクリル酸メチル / 有機-無機ハイブリッド / 複合材料 / 断熱材 / ゾル-ゲル法 |
研究開始時の研究の概要 |
熱エネルギーの効率的利用のため断熱技術への社会的ニーズが高まっている。エアロゲル構造体は固体材料の中で特に低熱伝導率を示す材料として知られているが、ハンドリング性や製造プロセスの煩雑さから普及への課題が多い。エアロゲルはゾル-ゲル法による構造形成と洗浄・乾燥過程を経て作製されるが、これらのプロセスは一般的に時間・手間がかかり、工業化には不向きという欠点がある。本研究ではエアロゲルの作製プロセスを見直し、既存高性能断熱材を上回る断熱多孔質材料の迅速・簡易形成を目指す。
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研究実績の概要 |
比較的安価な原料を用いて大気開放下・短時間のゾル-ゲル反応による構造形成を行ない、断熱を目的としたエアロゲルを作製するプロセスを開発した。 メタクリル酸メチルを中心としたモノマーに少量の多官能チオールと光ラジカル重合開始剤(Omnirad 184など)を加えた出発ゾルに3-10分間のメタルハライドランプもしくは365nm UV-LED照射を行なうことで、3-5mm厚のゲルを作製した。この湿潤ゲルに対してのアルコール洗浄と超臨界乾燥を行なうことで、上下面での不均一性、反りやクラックをもたない均質なエアロゲルが得られることがわかった。出発ゾルにさらにシリカ系やアルミナ系のナノ材料を加えることで、ポリマーのガラス転移点を超えた温度を用いたプロセスでのエアロゲル作製も可能にした。しかしナノ材料添加により出発ゾル中のUVの透過率が低下するため、厚みのあるゲル作製では再現性が悪化するなど、改善の必要がある。UV反応直後に得られる湿潤ゲルは無色透明であったが、超臨界乾燥後にエアロゲルはいずれも白色であった。得られたサンプルに対して電子顕微鏡、熱分析、力学試験、分光分析や熱流計法を用いた熱伝導測定などを行ない、作製条件と物性の関係性を明らかにした。 比較的単純な組成・反応プロセスでも従来エアロゲルに比べてハンドリング性がよい材料が得られ、乾燥空気の熱伝導率を下回る断熱性を示したことから、次年度以降の研究展開でさらなる物性向上が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究を進めることができた。次年度以降行なう内容の予備検討も順調に進められたため、今後も研究ペースの維持が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
出発ゾルにナノ粒子、ナノロッド、ナノファイバーなど異なる形態のナノセラミックス材料を加えることで、物性が改善されたエアロゲル作製や、超臨界乾燥を用いないプロセスの検討を行なう。 メタクリル酸メチルを中心とする有機ポリマーエアロゲルでは乾燥時に反りが生じやすく、大面積化を目指すためには収縮率低下を狙った骨格強度改善が課題である。今後は原料ゾルにさまざまなナノセラミックス材料を添加することで乾燥収縮抑制効果を実証する。各種ナノ材料を有機ポリマーネットワークに均質に分散させるための前処理条件や、最終生物の熱伝導率が極端に悪化しない添加量の範囲を明らかにし、さまざまなセラミックス組成との複合化を可能にする。
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