研究課題/領域番号 |
22K05248
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
中野 英之 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (00222167)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 光メカニカル挙動 / フォトクロミックアモルファス分子材料 / ハイドロゲル / アゾベンゼン / アガロース / キラリティ / アゾベンゼン系分子ガラス / 環境場 |
研究開始時の研究の概要 |
ハイドロゲル中でアゾベンゼン系分子ガラスが示す光誘起らせん構造形成への環境場が与える影響を詳細に調べ、キラル光メカニカル挙動発現のメカニズムを解明するとともに、得られた知見をもとに持続的光メカニカル運動を示すフォトクロミックシステム構築のための設計指針を提示することを目指す。とくにキラルな環境場が与える影響について、ハイドロゲルの三次元構造ならびに力学特性、ゲル繊維とフォトクロミック分子との相互作用などに着目して検討を進める。
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研究実績の概要 |
われわれは、寒天ハイドロゲル中に固定したアゾベンゼン系分子ガラスの微粒子に偏光を照射すると、偏光と平行な方向に引き伸ばされた構造に変形すること、伸長方向と垂直な方向へ波打つようにうねりながら伸長していくこと、粒子が十分伸びきった後も光を照射し続けている限りうねり運動が持続されること(持続的光うねり運動)、光伸長させた粒子の先端部分にらせん構造が形成されること、このらせんの巻方向が一方に偏ること(左巻らせん構造が優先的に生成するキラルらせん構造形成)、を明らかにしている。本研究では、光メカニカル挙動に与える周囲の環境場の影響を明らかにして、上述のキラル光メカニカル挙動の発現機構を解明することを目的として検討を進める。2022度は、異なるグレードの寒天(アガロース)のハイドロゲル中におけるアゾベンゼン系分子ガラスの光メカニカル挙動を検討して、キラル構造誘起に与えるアガロース純度の影響を明らかにした。アガロース純度が低く、アガロペクチンの割合が多いほど、おおきなキラル構造誘起が可能であることが明らかとなった。これは、純度が異なることでハイドロゲルの機械的特性(左右回転の粘弾性の差異)が変化したことが影響していると考えられる。さらに、寒天(アガロース)ゲルとは異なるキラルな高分子材料であるヒドロキシプロピルセルロースのハイドロゲル中で検討を行い、寒天ゲル中と同様のキラル光メカニカル挙動を示すことを明らかにした。以上の結果により、周囲のゲルのキラリティがキラル構造の誘起に重要な役割を果たしていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
純度の異なるアガロース(寒天)ゲル、ならびにヒドロキシプロピルセルロースのハイドロゲル中でアゾベンゼン系フォトクロミックガラスが示す光メカニカル挙動を検討し、キラル光メカニカル挙動発現の要因が、周囲のゲルのキラリティの影響であることの一般的を示すことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
キラル光メカニカル挙動におけるらせん構造形成の巻方向が、周囲のゲルのキラリティを反転させることによって逆転することを示す必要がある。天然のゲルではこのような検討は困難なため、人工的に両キラリティを有するハイドロゲルを開発し、そのゲル中におけるフォトクロミック分子ガラスの光メカニカル挙動を明らかにする。
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