研究課題/領域番号 |
22K05253
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 徹 京都大学, 福井謙一記念研究センター, 教授 (70303865)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 無輻射遷移 / 振電相互作用 / 有機EL / 内部転換 / 系間交差 |
研究開始時の研究の概要 |
無輻射遷移は輻射遷移とともに光物理過程を構成する重要な過程である。無輻射遷移速度定数を定量的に計算することができ, さらにそれを分子構造から理解することができれば, 光化学の基礎だけでなく応用面でも大きな進展が期待できる。一方, 高効率で長寿命の深青色有機EL素子(OLED)の実現は依然として重要な課題である。本研究では内部転換速度定数ならびに系間交差速度さらには内部量子効率を計算する理論を構築し, EL機構の解明に適用する。さらに、本理論を新しいEL機構である高次三重項経由蛍光機構に応用し、 高効率深青色OLEDを設計する。
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研究実績の概要 |
無輻射遷移過程は輻射遷移過程と競合する過程であり、これを抑制することは高効率発光を示す分子を実現する上で重要である。 分子中のすべての振動モードを考慮してcrude adiabatic描像に基づく無輻射遷移速度定数の解析的表式を導出し、内部転換ならびに系間速度定数を計算するプログラムを完成させた。これらのプログラムを用いて、フルオレノンとテトラセンについて計算を行い、先行研究で報告されている実験値を再現することを確認した。これらの方法は解析表現に基づいているため、無輻射遷移に関わるとされていた準位間のエネルギー差、振電相互作用、スピン軌道相互作用のいずれが重要な寄与を果たしているかを定量的に示すことができる。さらに、crude adiabatic描像に基づいているため、輻射過程でのフォトンの役割を無輻射過程ではフォノンが果たしているということが明瞭に理解できる。また、分子振動波動関数の重なり積分であるフランクーコンドン因子が、対角あるいは非対角振電相互作用・準位間のエネルギー差のいずれで決定されているかを可視化して解析することが可能である。 これまでに我々のグループで開発されてきた振電相互作用密度の概念に基づく解析手法と本研究成果とを組み合わせることにより、実験と比較可能な速度定数の理論的予測を行いつつ、高効率発光する分子の理論設計が可能となった。 また、本プログラムと解析手法をDABNAに適用して計算・解析を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計算対象とした分子を変更した他は、当初の計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の計画通り、新規な発光分子やホスト分子の設計を行う。
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