研究課題/領域番号 |
22K05255
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
松尾 恭平 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (00778904)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 有機半導体 / 有機電界効果トランジスタ / ポルフィリン |
研究開始時の研究の概要 |
有機電界効果トランジスタおよび有機薄膜太陽電池の実用化に向けては、n型有機半導体の開発が大きな課題である。テトラベンゾポルフィリン(TBP)は広いパイ共役系をもち有機半導体として有望な骨格であるが、通常p型半導体としてのみ機能する。TBPの中心に14族元素(ケイ素、ゲルマニウム、スズ)を導入することで分子軌道エネルギーが大きく安定化し、n型半導体特性の発現が期待できる。TBPの中心元素と側鎖置換基との複合的な構造修飾により、優れたn型有機半導体の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、テトラベンゾポルフィリン(TBP)を基本骨格として、中心元素と側鎖置換基との複合的な構造修飾による優れたn型有機半導体の開発に取り組んだ。本年度は、まずTBP骨格へのまず中心元素導入の方法を検討した。反応効率の観点から、汎用溶媒への適度な可溶性をもち、合成法が確立し比較的簡便に合成できるTBP誘導体を用いて、種々の中心元素導入を試みた。その結果、軸配位子を有するスズ錯体の合成に成功した。一方、軸配位子の導入によってTBP骨格のパイスタッキングが阻害できるため、化合物の溶解性は向上すると予想していたが、それに反して、得られた錯体の溶解性は極端に低下した。また、軸配位子の違いによっても溶解性に差が生じたことから、軸配位子を介した相互作用によって高次の積層構造を形成している可能性が示唆され、電荷移動度の向上に期待がもてる結果となった。しかし良好な単結晶が得られておらず、実際の結晶構造は明らかになっていないため、今後、結晶化条件を検討して詳細な構造解析を進める予定である。 また、中心元素導入に伴う溶解性の低下により、有機電界効果トランジスタ(OFE%T)素子の特性評価が困難になる可能性が生じたため、より溶解性の高い側鎖置換基を有するTBP誘導体の合成にも取り組んだ。その結果、異なる置換基を有するTBP誘導体の合成に成功し、興味深い結晶構造を与えることを見出したため、その化合物のOFET特性の評価も行い、比較的高移動度な材料の開発に成功した。今後は新規TBP誘導体を用いた中心元素導入も検討し、詳細な構造解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的の錯体の有機半導体特性の評価には至らなかったものの、合成は達成しており、今回開発した手法を用いることで、同種の中心元素錯体の合成は容易である。また異なる置換基のTBP誘導体の開発も並行して進めており、結晶構造解析および有機半導体への応用に適したTBP誘導体が得られれば、その錯体化を行うことで計画を順調に進行できる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、中心元素を導入した錯体の構造解析、電子物性の評価、有機半導体特性の評価に取り組む予定である。また溶解性や結晶性の向上のため、異なる置換基を有するTBP誘導体の開発にも取り組む予定である。
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