研究課題/領域番号 |
22K05264
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 拓哉 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (30793690)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 蛍光体 / レドックス / 蛍光スイッチング / 希土類 / モリブデン酸塩 / 酸化物 / エレクトロクロミック |
研究開始時の研究の概要 |
本申請課題は,層状酸化物の層電荷を能動的に制御するという新しい結晶層修飾技法を駆使することで,遷移金属のエレクトロクロミズム能により希土類イオンの蛍光能がON/OFFするフルオロエレクトロクロミック(FEC)材料の創出を目指す研究である。その新材料創出に向けて,1)層電荷制御の適用材料の拡張,2)層電荷制御技術を基盤としたFEC材料の創出,3)FEC機能のメカニズムの解明,を主たる研究課題とすることで,最終目標を達成する。
|
研究実績の概要 |
本課題は,研究代表者が新たに開発した「結晶層修飾技法」(層状酸化物の層電荷を能動的に制御する手法)を駆使することで,遷移金属酸化物のエレクトロクロミズム能がトリガとなって希土類イオンの蛍光能がON/OFFするフルオロエレクトロクロミック(FEC)材料の創出を目指す研究である。その新材料創出に向けて,1)層電荷制御の適用材料の拡張,2)層電荷制御技術を基盤としたFEC材料の創出,3)FEC機能のメカニズムの解明,を主たる研究課題としている。初年度となる令和4年度は,「層電荷制御の適用材料の拡張」を主眼として研究を進めた。これまでの材料には,タンタルやニオブからなる層状ペロブスカイト化合物をメインターゲットとしてきたが,本課題では,酸化還元を機能の主軸している観点からより容易かつ,明瞭な色相変化を示すモリブデンやタングステンからなる層状希土類含有酸化物材料をターゲットとした。 その初期段階として,層状希土類モリブデン酸塩であるKEu(MoO4)2を作製し,希硝酸中でのプロトン交換反応によってHEu(MoO4)2を作製することができた。これは,還元剤であるアスコルビン酸処理によって,色相が明瞭に変化するとともに,Eu3+由来の赤色蛍光が劇的に減退することが分かった。つまり,化学的蛍光スイッチング能を有することを確認した。また,電気化学反応により引き起こされる機能であるため,微結晶粒子が望まれる背景から,溶液プロセスによる材料合成を試みた。具体的には,前駆体として層間にアルカリ金属が導入されたAEu(MoO4)2 (A: K,Cs)を水熱反応場での直接合成によって合成することに成功した。現在は,この材料に対して,Li+やH+をイオン交換反応によって導入することで,エレクトロクロミズム能を有する材料の開拓を目指している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主たる研究課題の1段階目である「層電荷制御の適用材料の拡張」に対して,比層状ペロブスカイト系である層状モリブデン酸塩における蛍光スイッチング能を確認することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,イオン交換能プロセスの条件最適化を経て,その技術確立を目指す。さらには,電気化学的酸化還元反応を観察するために,作製した蛍光体材料の薄膜作製技術を確立し,エレクトロクロミック能,さらにはフルオロエレクトロクロミズム発現を目指す。
|