研究課題/領域番号 |
22K05279
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
王 正明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (10356610)
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研究分担者 |
吉澤 徳子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 総括研究主幹 (10358327)
佐藤 由也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80711291)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | グラフェン / メソポーラスシリカ / サンドイッチ型複合体 / 垂直ポア配向 / 酵素充填剤 / 酵素反応 / 垂直配列 / 酵素充填 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、ポア垂直整列したメソシリカナノ厚さ層でグラフェンの両側を挟み込むという特異構造のサンドイッチ型ナノ接合体を独自に開発しており、生物触媒反応を司る酵素分子を包摂・固定する恰好な場として活用することを目指している。本研究では、多様な酵素分子を有効に機能させるためのメソポアサイズやポア壁の表面特性の調節や、電気的・化学的性質を利用して酵素分子の充填量・充填形態の制御などを通じて、酵素配列固定に適したグラフェン複合構造を開発し、光誘起発熱効果など、グラフェンの特異機能を活用した環境汚染物の選択的・高効率的な除去など、幅広い環境リスク削減分野への応用を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究では酵素分子を独自なグラフェン-メソシリカサンドイッチ型ナノ構造体のメソポアに均質的に充填し、極めて効率の良い汚染物除去用反応触媒として活用することを目指している。昨年度において、主に四級アンモニウムイオン型界面活性剤を鋳型に膨潤剤を適用するなど、メソポアサイズが5nm以上まで拡大した、酵素充填に適した複合体材料を開発できた。R5において、主に得られた複合材料へのラクタマーゼ型酵素の充填様式、これらを用いてアンピシリンを分解無害化する効果について検討した。その結果、①還元型酸化グラフェンに対して、グラフェンーメソポーラスシリカ複合体への酵素固定力が強く、アンピシリン分解力が高く、繰り返し効果も大変高かったこと、②ピュアのメソポーラスに対し、同じ酵素充填量で比較した場合のアンピシリン分解率と繰り返し性能が同様であるが、グラフェンーメソポーラスシリカ複合体の方は単位シリカ重量の酵素充填効率が良く、言い換えれば、酵素充填密度がより高められ、充填様式を変化させることによりアンピシリン分解効率を上げさせる可能性があることが分かった。また、400nm以下カットしたフィルター付きキセロンランプ照射条件下において、ピュアなメソポーラスシリカの系では光照射によるアンピシリン分解の増進効果がないのに対し、グラフェンーメソポーラスシリカ複合体では、低温ほど顕著なフォートサーマル効果があることを明らかにした。更に、より広範な酵素種類の固定剤として応用可能な、ポアサイズが更に大きいグラフェンーメソポーラスシリカ複合体を得るために、ブロックポリマーを鋳型とする複合体の合成も試みた。今年度得た成果を二件の学会発表を果たし、一報の論文投稿を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
提案時の年次計画通りに研究を進められている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画で予定した通り、R6年度において、主に酵素反応の最適化を行う予定である。ラクタマーゼだけでなく、ウレアーゼなどを適用した酵素充填方法の開発及び充填効果の最適化を進め、アンピシリンや尿素の加水分解などの酵素反応への応用効果を検討する。また、ブロックポリマーを鋳型分子としてポアサイズのより大きい複合体の合成方法の探索を深化し、酵素充填及び汚染物分解効果の最適化を図る予定である。
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