研究課題/領域番号 |
22K05282
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高島 舞 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10772345)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 光触媒 / 二酸化炭素還元反応 / 光強度依存性 / 光触媒反応 |
研究開始時の研究の概要 |
新規光触媒反応サイクルを基盤として,二酸化炭素資源化プロセスを実用化するためのブレークスルーになりうる「高選択的二酸化炭素還元」サイクルを開発する.実用化に向けた最適のターゲット生成物として一酸化炭素を選び,水を含まない無水固気相型反応系において二酸化炭素から一酸化炭素を生成させることを目的として,金属酸化物光触媒上に担持させた酸化銀/炭酸銀/金属銀の暗反応/光触媒反応サイクルを導入し,高強度の光照射下での光触媒反応段階において,炭酸銀を不均等分解して一酸化炭素を発生させる化学プロセスを開拓する.さらに,気相流通型連続反応装置を試作し,実用化への展開をはかる.
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研究実績の概要 |
本研究では二酸化炭素資源化における「光触媒サイクル」すなわち,(a)光触媒上の酸化銀に二酸化炭素を含む気体を流通させることで炭酸銀を形成させ,(b)光触媒反応により炭酸銀を酸化分解させて一酸化炭素と酸素を生成させ,さらに,(c)生じた金属銀を空気中の酸素で熱反応(あるいは光反応,光触媒反応)によって酸化銀に再生させるプロセスの有効性を実証することにより,真に実用化可能な化学プロセスとしての二酸化炭素の資源化法を開発することが目的である. 本年度はまず,酸化チタンなどの金属酸化物光触媒上に光析出法ならびに化学還元法により銀助触媒を析出させた光触媒を調製し,一般的な二酸化炭素還元反応系において問題なく反応活性を示すことを確認した.銀助触媒の担持状態を透過型電子顕微鏡で確認したところ,約10 nmの銀粒子が均一に担持されていることがわかった.また,銀の電荷状態をX線光電子分光法により確認したところ,光析出法で担持した場合には1価の銀であることがわかった.しかし,光触媒反応前後において銀のピークが激減したことから担持状態の改善が必要であることが判明した.調製した銀担持光触媒を用い,二酸化炭素還元反応の光強度依存性をしらべたところ,例えば一酸化炭素生成は一次,水素生成は0.5次と生成物によって反応次数が異なることがわかった.これは光強度によって生成物の選択性を変えることができるという,これまでにない新しい知見である. また,反応セルに関し,容積をできるだけ小さくしたガラス製および金属製の反応セルの作製および光学系の選定および導入・構築を行い,気相の二酸化炭素還元反応を行ったところ,光照射により試料の色が紫色に変化し,酸化銀ができたことがうかがえたものの,生成ガスは二酸化炭素と酸素のみであり,残留する水が酸化されている可能性が高いため,次年度では系の脱水等を試みる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調製した銀担持光触媒が液相系反応において活性があることを確認し,また反応速度の光強度依存性をしらべたところ,反応次数が生成物により異なることがはじめてわかった.さらなる解析は必要なものの,これまでの通説・常識を裏切るおもしろい結果であり,今後さらに検証していく予定でいる.また,反応セルの構築も進んでおり,現時点では二酸化炭素と酸素の生成しか確認できていないが,セルに改良を加えたり照射する光強度によって改善できると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針としては,液相系と気相系の両反応系での検討を進める.液相系については,低光強度領域における反応次数の調査や他の副産物(4電子移動反応の生成物であるホルムアルデヒドなど)の確認,ならびに速度論モデルの構築を考えている.気相系については,まずは脱水機構を導入し,高強度光を照射することでの変化を調査する.また,銀助触媒の担持状態の改善もおこない,炭酸銀からの一酸化炭素生成を目指す.
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