研究課題/領域番号 |
22K05286
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
桑村 直人 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 准教授 (80643791)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 電気化学 / 含硫アミノ酸 / 異種金属イオン / 配位ポリマー |
研究開始時の研究の概要 |
真に持続可能なエネルギー生成材料の開発には、原料も合成過程もコストをかけてはならない。本研究では、従来の高温焼成や多段階有機合成に頼らない、真の意味での持続可能材料の開発を目的として、天然豊富なアミノ酸を原料とした、室温混合により生成する、水分解触媒能を示す配位ポリマーの開発を目指す。これによって、安価で環境にやさしい持続可能水素生成触媒を可能にし、最終的には天然豊富な材料で誰もが簡単にその場で燃料を自由に作り出す、分子技術創生の礎をつくる。
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研究実績の概要 |
本研究では、触媒として働くアミノ酸金属錯体を、配位結合で連結して、種々の構造をもつ配位ポリマーを自在に合成し、触媒機能を調べることで、実用に耐えうるアミノ酸配位ポリマーの開発を行うことを目的として研究を進めている。 これまでの研究では、複数の金属イオンを組み合わせることで、水素発生触媒能が向上することを見出してきた。特に、3種類の金属イオンの組み合わせが最も触媒能力を向上させることを見出し、また組み合わせに応じて、配位ポリマーの構造の次元性を制御できることも明らかにした。 そこで、令和5年度は、4種類の金属イオンの組み合わせを検討するため、ペニシラミンを配位子として、新たな錯体配位子を設計し、それらを組み合わせた3種混合錯体配位子の構築をまず検討した。これまで補助配位子として用いてきた、アンミン配位子に代わり、よりかさ高いメチルアミン配位子を用いたところ、2種の錯体配位子が複合した、3種錯体配位子を選択的に合成できることを見出した。ここに、コバルト(II)イオンや亜鉛(II)イオンを反応させると、ペニシラミンのカルボキシ基によって連結した、4種類の金属イオンが混合した、新たな配位ポリマーを2つ単結晶として合成することに成功した。これらの分子構造は、単結晶X線構造解析によって確認し、それぞれ、1次元ジグザグ形と、3次元ネットワーク形の配位ポリマー構造をもつことを明らかにした。しかしながら、いずれも非常に密な構造をもっており、基質が入り込めるような隙間があまりない。実際に、水素発生触媒能を、ボルタンメトリーとガスクロマトグラフによって検討したところ、ほとんど触媒能力がなかった。 また薄膜化の検討のため、ピロールとの混合も検討した。現在のところ薄膜化には成功したが、配位ポリマーの複合化に課題が残っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の設計通り、4種類の金属イオンを含む新たなアミノ酸配位ポリマーの構築に成功した。またその分子構造を単結晶X線構造解析によって解明し、用いる連結金属イオンの種類に応じて、配位ポリマーの構造の次元性を制御できることが分かった。さらに、水素発生触媒機能の調査を行った。残念ながら活性はよくなかったが、結晶の密度が活性の有無に関わることが確認され、今後の配位ポリマーの設計指針を1つ見出した。また、薄膜化についても種々の検討を行い、酸化グラフェンとの混合が活性向上に資することを予備実験により確認した。
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今後の研究の推進方策 |
活性の向上のため、4種類の金属イオンを含む配位ポリマーの密度低下を狙う。具体的には連結金属イオンを、低配位性金属イオンや他の金属錯体に変更することを検討する。また、薄膜化の検討のため、酸化グラフェンや還元酸化グラフェンや各種金属酸化物との複合化を検討する。なお、予備実験において、ニッケル錯体の水素発生触媒機能が、酸化グラフェンとの組み合わせによって各段に活性を向上させることを、すでに見出している。
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