研究課題/領域番号 |
22K05287
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山本 孝 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (70361756)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 酸化ジルコニウム / 銅 / エタノール転換反応 / 酢酸エチル / 結晶相 / 酸塩基触媒 / 前周期遷移金属元素 / 複合酸化物 / ジルコニウム / キャラクタリゼーション |
研究開始時の研究の概要 |
ジルコニウムを中心とした前周期遷移金属と異種元素を組み合わせた多元系酸化物触媒について状態図を活用した触媒設計,バルクおよび原子レベル構造解析,表面物性測定を行い,1)固体超強酸に匹敵する酸性質発現のためにジルコニウム系酸化物触媒が兼ね備える条件と活性種の解明,2)構造制御された前周期遷移金属を含む複合酸化物酸塩基触媒の開発,3)複合酸化物触媒によるエタノール転換反応を行う.
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研究実績の概要 |
2021年度は水非共存下でのエタノール転換反応をさまざまなジルコニア担持銅触媒を用いて行い,生成物選択性を制御する因子について検討した.目的生成物はアセトアルデヒドを経由して生成する酢酸エチル,主要副生成物は炭素数4のアルデヒド/アルコール類(C4-al,ol)であり,その生成物比から選択性を評価した. はじめに15種類の金属酸化物,金属水酸化物,複合酸化物を用いた担持銅触媒にて活性試験を行ったところ,酸化ジルコニウムを用いた際に特に酢酸エチル収率が高くなる先行研究を再現する結果を得た(実験1).次に入手可能な酸化ジルコニウム,水酸化ジルコニウム,ジルコニア系複合酸化物を用いた活性試験を行い,酸化ジルコニウム単独,特に水酸化ジルコニウム担体を用いると酢酸エチル選択率が高くなることを確認した(実験2).以上の予備実験を経て,酸化ジルコニウム相の異なる担持銅触媒を同一ジルコニウム塩原料を用いて約30種類調製して活性試験を実施したところ,選択性の序列は非晶質>正方晶(立方晶)>単斜相であり,先行研究と異なることを確認した(実験3). 実験2において選択性が特に低かった触媒は固体強酸として機能することが予想される組成であった.このことから触媒表面に比較的強い酸点が存在するとC4-al,ol生成反応を促進して選択性が低下すること,単斜晶系触媒には比較的強い酸点が存在すること,より非晶質系触媒の酸強度は低いことを推察した.非晶質系触媒に硫酸イオンを添加すると選択性が低下,単斜晶系触媒にナトリウム塩を添加すると選択性が向上したことから,上記仮説の妥当性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は特に滞りなく触媒調製,活性試験を実施し,学会および学術誌上にて成果発表を行うことができた.特に同一原料から結晶相の異なる酸化ジルコニウム触媒を20種類以上調製し,体系的に確度の高い活性試験を実施することができた.我々が得た結果は先行研究と異なるものであったが試行実験回数および内容より信憑性が高いとの判断を受け,成果公表が可能となったのではと推察している.現在も継続して研究を進めていることから,本研究課題は概ね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究にて見出した選択性制御因子について,結晶相以外の要因の存否を,触媒調製条件,前処理,反応条件検討により探求する.また表面酸塩基性質の評価を試みる.
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