研究課題/領域番号 |
22K05301
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
高辻 義行 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (70799345)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | パルス電位制御 / 二酸化炭素電解還元 / CO2 / 電解還元 / パルス |
研究開始時の研究の概要 |
CO2は温室効果ガスとして知られており、電解還元することで有価物質に変換することができ、資源化することが可能である。本研究では、CO2から炭化水素類を生成することができる、Cu触媒電極およびCu合金触媒電極を用いて、CO2へパルスで電位を印加することで、生成物の変化すると予想される。そのパルス電位および印加時間を制御することによって、逐次反応で生成される炭化水素類の反応経路を速度論的に研究し、明らかにする。また、パルス電位およびその印加時間を制御することにより、炭化水素類の生成物選択性向上も目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度から、パルスを電位制御と電流制御とで比較することを試みてきた。結果、酸化電流が流れることになるが、パルスを電位制御で印加することで、二酸化炭素の電解還元反応を逐次的かつ反応速度論的に解析することができるようになった。ここで、酸化電流が流れることについて、電極表面が酸化されていないかが重要な点になる。銅電極での二酸化炭素電解還元において、亜酸化銅が効率的に二酸化炭素からエチレンを生成することが多く報告されているため、意図的に酸化電位を印加することで亜酸化銅の還元を抑制しつつ、エチレン生成の効率を保てるのではないかと考えた。しかし、予想と反して亜酸化銅自身の還元速度が速く、二酸化炭素の還元よりも亜酸化銅の分解反応が進んでしまうことが明らかとなった。そのため、意図的に酸化電位を印加することはやめ、パルス電位を自然電位と還元電位で固定し、電位とパルス時間を様々変化させて実験を進めた。その結果、炭化水素類であるメタンとエチレンの生成について、ファラデー効率が変化していく結果を得ることに成功した。定電位印可とは異なる生成物のファラデー効率で二酸化炭素電解還元反応が進んでいくことがわかり、銅電極の表面組成や形状、結晶面が関係していると推察される。また、競合反応である水素生成反応が最初は有意であるが、ある一定の時間(数十ミリ秒単位)で電位を印加することで二酸化炭素電解還元反応が優位に立つことも明らかとなった。生成物に関しては、一酸化炭素を中間生成物として炭化水素類が生成すると考えたられていたが、実験的に実証することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電位制御により、二酸化炭素電解還元反応を速度論的に追うことに成功している。また、理論的に逐次反応であると考えられているが、パルス電解還元を行うことで、中間体である一酸化炭素を生成物として得ることができた。また、還元電位をパルス印加することで逐次反応の最終生成物である炭化水素類(メタンとエチレン)のファラデー効率が変化することを見出した。これはメタンとエチレンの反応経路および水素付加反応の速度が異なることを示唆しており、計算化学で議論されている点を実験的に実証したことになると考えられる。反応生成物の選択性は電極表面の表面形状および結晶面、組成に大きく依存するとされており、電極の性能を反応速度論的に解析する手法としてパルス電解が重要な役割を果たすことの証明になると考えられる。また、亜酸化銅については予想以上に還元され分解することも確認できた。これまで多くの論文で亜酸化銅の有用性が議論されてきたが、反応物質である二酸化炭素の拡散律速が問題になるのではないかと予想ができる。そのため、亜酸化銅電極で二酸化炭素電解還元反応を行う場合、ガス拡散電極のような拡散律速が起こりにくい反応環境を整えることが重要であることが予想される。これらの結果から、銅電極の形状や結晶面および組成が異なる電極でパルス電位印加を行うことで、反応経路および反応速度論的解析が実証できないか引き続き検討を続ける。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、銅電極の二酸化炭素電解還元反応を速度論的に解析することが加藤となっている。そのため、様々な銅電極において、二酸化炭素電解還元を行い、それらの電極性能を反応速度論的に解析することを試みる。その中で、生成物選択性に最も寄与する要因を明らかにしていく。特に、電極表面の結晶面に着目し、生成物選択性に寄与していることを期待し、多結晶電極において、どの結晶面が優位に働いているかが明らかとなれば、電極開発の指針にもなると考える。加えて、めっき技術を応用して結晶面制御が実現できないか、検討していく。また、定電位電解還元を行った場合、電極の経時的変化が問題となっているが、パルス電位印加することで長時間還元反応を行っても、電極の変化が生じないかを検討することも並行して行っていく。
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