研究課題/領域番号 |
22K05310
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯塚 怜 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90541954)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ポリエチレンレテレフタレート / 酵素 / ポリエチレンテレフタレート |
研究開始時の研究の概要 |
ポリエチレンテレフタレート(PET)は難分解性のポリエステルだが,エステル結合を加水分解する酵素は自然界に広く存在する.このため,PETを分解する酵素の探索が行われてきた.しかし現時点で,真にPETを分解(解重合)できる酵素は4種類だけである.そこで本研究では,培養を必要としない迅速なPET分解微生物の探索法を確立する.またその探索法を実践し,未知・未培養微生物由来の新たなPET分解酵素を取得する.さらに,取得した酵素をPETのリサイクルに即した酵素へと進化させる.
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研究実績の概要 |
本研究は,ポリエチレンテレフタレート(PET)分解微生物・酵素を探索する方法を確立すること,またその方法を利用して未知・未培養微生物由来の新規PET分解酵素を取得,PETのリサイクルに即した酵素へと進化させることを目指している.令和4年度は,以下の項目に取り組んだ. (1)要素技術の確立 PETを粉体化すれば,比表面積が増大し,酵素による分解が迅速に進行するため,PET分解微生物・酵素の探索が容易になると考えた.その原理実証を,好熱性放線菌Saccharomonospora viridis由来PET分解酵素(Cut190)を用いて行った.その結果,粉体化PETは同重量のPETフィルムに比べ,2倍以上分解された.また,ボトルやパッケージなどの使用済みPET製品も,粉体化することで分解性が向上することが分かった.この成果は,AMB Express誌に掲載された.また,酵素の分子進化に資する要素技術を確立し,Biochemical Engineering Journal誌に発表した. (2) 堆肥メタゲノムからのPET分解酵素遺伝子の探索 高いPET分解能を示す酵素の多くは,堆肥由来の好熱性放線菌のクチナーゼである.そこで,高温発酵堆肥より抽出したメタゲノムを鋳型にし,好熱性放線菌のクチナーゼ遺伝子に対するユニバーサルプライマーを用いてPCRを行った.得られた増幅産物をクローニングし,32種類の候補遺伝子を得た.いずれの遺伝子産物も,好熱性放線菌(Thermobifida属細菌,Actinomadura属細菌,Thermoanaerobacterales目細菌)のクチナーゼ,エステラーゼなどと高い相同性を示した.各遺伝子を大腸菌で組換え発現させ,26種類のタンパク質を可溶性画分に発現させることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタゲノムからのPET分酵素遺伝子探索が進展したため,それを優先的に進めたが,掲げていた目標は最低限達成することができた.今後の成果が見込まれる.
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今後の研究の推進方策 |
PETを粉体化することでその分解性が高まることが実験的に確認されたので,申請時に掲げたPET分解微生物の探索法を確立するとともに,その方法を実践する.また前年度までに得られたPET分解酵素の活性評価を行う.
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