研究課題/領域番号 |
22K05321
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
佐藤 秀明 久留米大学, 医学部, 准教授 (60271996)
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研究分担者 |
杉島 正一 久留米大学, 医学部, 准教授 (30379292)
塚口 舞 (古澤舞) 久留米大学, 医学部, 助教 (40624094)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ヘム生合成 / ポルフィリン生合成 / テトラピロール / 結晶構造解析 / X線結晶構造解析 / 酵素反応機構 |
研究開始時の研究の概要 |
あらゆる生物のヘム生合成経路で合成される天然色素のヘムでは、4つのピロール環の側鎖配置が対称的でない。これは、ヒドロキシメチルビランシンターゼの合成する鎖状のテトラピロールが、ウロポルフィリノーゲンIIIシンターゼによって環状化される際に、D環ピロールの反転を伴うためと考えられる。本研究では、ヘム前駆体であるヒドロキシメチルビランの構築と環状化に関わるこれらの酵素について、立体構造と溶液中での反応の両面から検討を行い、非対称な側鎖配置を持つ環状テトラピロールを合成する反応機構を解明する。
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研究実績の概要 |
ヘム生合成経路では、ヒドロキシメチルビラン合成酵素(HMBS)によりポルホビリノーゲン(PBG)4分子から鎖状テトラピロールが合成され、これがウロポルフィリノーゲンIII合成酵素(UROS)によりD環ピロールの反転を伴って環状化される。本研究では、これらの酵素について溶液中での反応と立体構造の両面から検討を行い、ヘムのポルフィリン環が構築される反応メカニズムの理解を目指している。これまでにヒトHMBSについて、ホロ型および、補因子に2分子の基質PBGを連結した反応中間体ES2型で、基質類似体との複合体の結晶構造解析に成功し、鎖状テトラピロールの構築過程でPBGがいかにして連結されていくのかを考察してきた。 今年度HMBSについては、構造解析の結果から活性部位付近に存在して、補因子に連結した基質数の管理に関わると予想される酸性アミノ酸残基を、アラニンに置換した変異酵素の発現系を構築した。そして、野生型と同様に大腸菌で発現させ、各種カラムクロマトグラフィーで精製して変異酵素を調製した。酵素活性を測定したところ、野生型に比べ、得られた変異酵素ではVmaxが50%程度まで低下したが、Kmに大きな変化は見られなかった。また、native PAGEによって反応中間体の分離を試みたが、変異による基質結合数の顕著な差異は見出されなかった。今後、他のアミノ酸残基についても変異酵素を作成して検討し、鎖状テトラピロール構築における役割を考察する予定である。 一方、UROSについては、詳細な立体構造解析に向けて結晶化に取り組み、ヒトUROSのクラスターや微結晶を得たが、これまでのところ結晶構造解析に用いることはできなかった。今後、結晶化条件を改良し、また反応生成物などとの共結晶を得て構造解析を実施して、テトラピロール環状化の反応メカニズムについて考察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
変異型HMBSの発現系を構築するのに手間取ったため、また、X線結晶構造解析に適したUROSの単結晶を思うように得ることができなかったため、研究に若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
【HMBS反応:PBG 4分子からHMBへの縮合過程】 基質PBGやPBG類似体を用いて、HMBSの反応中間体であるES1~ES4型の各複合体を調製してX線結晶構造解析を実施する。また、活性部位周辺のアミノ酸残基を置換した変異酵素を作成し、酵素活性やKmの解析によってそれらのアミノ酸残基が反応に果たす役割を探る。複合体の構造と変異酵素の活性解析の結果から、4分子の基質がどのように活性部位に結合し、どのアミノ酸残基がどのようにして縮合反応を進めるのかを明らかにする。 【UROS反応:HMBのD環反転を伴う環状化過程】 反応生成物や反応の進行しない基質類似体を用いて、UROSとそれぞれとの複合体のX線結晶構造解析を進める。得られる立体構造から基質結合に関わるアミノ酸残基を推定し、それらについての変異酵素を作成して、酵素活性やKmの解析から各アミノ酸残基が基質結合や触媒活性に果たす役割を検討する。これによりUROSが溶液中で機能する際の基質の結合状態や、反応に必要なプロトンの供与体を明らかにし、UROSによるD環ピロール反転を伴う環状化メカニズムの解明を進める。
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