研究課題/領域番号 |
22K05328
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
此木 敬一 東北大学, 農学研究科, 准教授 (40292825)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | マイトトキシン / 蛍光標識 / 生細胞観察 / Membrane Blebbing / 天然物化学 / 作用機序 / ケミカルプローブ / ライブセルイメージング |
研究開始時の研究の概要 |
単離後、約40年経た現在においてもマイトトキシン(MTX)が示す急性致死毒性 (フグ毒テトロドトキシンの約200倍)の作用機序は不明である。研究代表者は HAP1細胞に含まれる約18,000の各遺伝子がMTXの細胞毒性に及ぼす影響を調べ(CRISPR)、MTXが脂質を分子標的とすることを推測し、その後、研究協力者はMTXがことを明らかにした。本研究では、人工細胞や単一遺伝子を欠損させた培養細胞に対するライブイメージングを行い、CRISPR スクリーニングの結果をより一層、検証するとともに、MTXによる「膜透過性亢進作用」の完全解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
1. 蛍光標識ジエノフィルを合成し、マイトトキシンの分子末端に存在する共役ジエンに付加反応させる計画を実施した。(1) 5-Aminofluoresceinを原料とするスキーム1は、炭素鎖の伸長、続くクリック反応によるPTAD-Alkyneの付加により、ジエノフィル前駆体であるトリアゾリジンジオンの構築に至った。 しかし、トリアゾリジンジオンを酸化してジエノフィルであるトリアゾールジオンを生成させる反応が進行しなかった。(2) 3-Perylenecarboxaldehydeを原料とするスキーム2は、カニッツァーロ反応により生成させたカルボン酸の低反応性により断念した。(3) NBD-Fを原料とするスキーム3は、炭素鎖の伸長後、続くクリック反応によるPTAD-Alkyneの付加により、ジエノフィル前駆体であるトリアゾリジンジオン骨格の構築に至った。(4)これを酸化して生成させたジェノフィルは不安定であり単離は困難であった。 そこで、前駆体を酸化してジエノフィルを化学合成する反応系に、予め分子末端ジエン部を有するモデル化合物1を含ませたところ、系中で発生したジエノフィルが共役ジエン部を有するモデル化合物1に付加反応を起こした生成物が得られた。しかし、前駆体を酸化してジエノフィルを化学合成する反応系に、分子内部にジエン部を有するモデル化合物2を含ませたが、系中で発生したジエノフィルがモデル化合物2と付加反応を起こさなかった。
2. マイトトキシンが起こす細胞膜のBlebbingの分子機構を解明するため、単一遺伝子欠損株を用いた精細胞観察を行った。(1) 単一遺伝子ノックアウト株のうち、マイトトキシンの細胞毒性を増強した(感受性株)、または軽減した(耐性株)各一株X、Yに対してマイトトキシンを添加して生細胞観察を行ったところ、細胞内へのカルシウム流入およびBlebbingは阻害された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイトトキシンの誘導化には至っていないが、合成したジエノフィルとモデル化合物1が反応する結果を導けたことは大きな前進である。 単一遺伝子欠損株を用いた生細胞観察も実施することができ、概ね予定通りの進捗であると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
1. ジエノフィルであるトリアゾールジオンが不安定であるため、ケージド化合物に誘導し、単離・生成を行う。 2. 反応系内で発生させたジエノフィルがモデル化合物2と付加反応を起こさなかったため、蛍光色素に多様性を持たせる必要があると考えた。 そのため、以前、試みて断念した3-Perylenecarboxaldehydeを原料とするスキーム、Fluoresceinの代わりにRodamine Bを原料とするスキームを試みる。 3.マイトトキシンの作用を阻害した試薬AおよびBを投与した条件で細胞株X、YのMTXに対する感受性を調べる。
|