研究課題/領域番号 |
22K05333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
長井 賢一郎 北里大学, 薬学部, 講師 (30321649)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | アムホテリシンB活性増強作用 / ペプチド合成 / 鎖状ペプチド / ネクトリアチド / ペプチド |
研究開始時の研究の概要 |
深在性真菌症の第一選択薬であるアムホテリシンB (AMPB) は広い抗真菌スぺクトルと迅速な殺菌作用を示すが、重篤な副作用が問題となっ ている。 微生物資源より見出されたAMPBの抗真菌活性を増強する新規環状ペプチドのネクトリアチドは単独では抗真菌活性を示さないため、その併用 は治療におけるAMPBの投与量を削減し、副作用を減弱すると期待できた。 ネクトリアチド誘導体が真菌に対してどのように作用してAmBを増強するかを問いとして、構造活性相関の情報を参考に誘導体の最適化を行い、さらに設計したプローブ分子を活用した標的分子の解明に取り組む。結果として副作用の少ないAMPB療法の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
ネクトリアチドは微生物資源より見出されたアムホテリシンB(AmB)の抗真菌活性を増強する新規環状ペプチドである。ネクトリアチドは単独では抗真菌活性を示さないため、その併用はAmBの抗真菌活性を維持したまま、投与量を削減し、その結果として副作用を減弱すると期待されている。研究代表者はすでに確立した液相合成を活用して誘導体を合成した。その中でC末、N末、チロシンの残基を保護した鎖状誘導体が1.0 μg/mLの濃度でAmBのMIC値を1.0 μg/mLから0.063 μg/mLまで低下させAmB活性を16倍増強し、ネクトリアチドより高活性を示すことを見出した。23年度は、この鎖状誘導体をリード化合物に取り上げて、N末のCbz基を変換した誘導体と蛍光標識プローブ体の合成を検討した。先ずN末のCbz基を変換した誘導体の合成を検討した。N末のCbz基を除去した後、アミノ基に酸無水物を作用させることでN-アセチル体とN-ベンゾイル体を合成した。N-アシル体はCbz体より減弱するものの、高いAmB抗真菌活性増強作用を維持した。Fluorescein Isothiocyanate(FITC)を作用させて蛍光標識体を合成した。蛍光標識体はネクトリアチトドより高いAmB抗真菌活性増強作用を示した。蛍光標識体(64 μg/mL)をCandida albicansに添加し、37度で1時間培養後、その局在を観察した。その結果、蛍光標識体は細胞膜に局在し、酵母型より菌糸型(エルゴステロールが豊富とされる)に蛍光が観察された。またAmB(0.5 μg/mL)の併用により、細胞膜内の蛍光標識体の局在が増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき、ネクトリアチド誘導体を合成した。N末のCbz基をアシル基に変換できることを見出し、アシル体は高いAmB抗真菌活性増強作用を維持した。また、この知見を元に作成した蛍光標識体を活用し、蛍光標識体がCandida albicansの細胞膜に局在することを明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
すでに高活性なネクトリアチド誘導体を見出している。In vivo試験に向けて、誘導体について肝ミクロソームを用いた代謝安定性試験等を行い、安定性を確認する。代謝安定性に問題があれば、ペプチド等価体の設計と合成に取り組む。一方で、ネクトリアチド誘導体がエルゴステロールに関与していることが示唆された。光親和性タグ等を導入したプローブ分子を作成し、エルゴステロールが標的分子であるかを確認する。
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