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細菌のタンパク質コンパートメントを基にした機能性人工シェルの創成

研究課題

研究課題/領域番号 22K05334
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分37020:生物分子化学関連
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

佐々木 栄太  慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (00803157)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードタンパク質シェル / 人工タンパク質 / ルマジン合成酵素 / DDS / 分子進化 / バクテリアルマイクロコンパートメント(BMC) / 自己組織化 / 薬物送達システム / BMC
研究開始時の研究の概要

多くの細菌は、その細胞内にタンパク質の殻(シェル)で区画化された Bacterial microcompartment (BMC)と呼ばれる構造をもつ。BMCは特定の酵素を内包し、物質の合成・代謝装置として働く。BMCシェルを自在に利用できれば、物質の貯蔵、生産、輸送に関わるさまざまな応用が期待できる。そこで本研究では、これまで未開拓だったBMCシェルの人工利用への道を拓くことを目指し、BMC構成シェルタンパク質を改変することによって、標的とするタンパク質を取り込みながら自発的にシェルを形成する新たな機能性人工シェルの創成とその応用を試みる。

研究実績の概要

本研究は、細菌由来のタンパク質コンパートメント(タンパク質の殻(シェル)構造で区画化された空間)の人工利用への道を拓くことを目指し、ゲノムデータから得られる多様なシェルタンパク質を遺伝的に改変または進化させることにより、標的とするタンパク質を取り込みながら自発的にシェルを形成する新たな機能性人工シェルを創成することを目的とするものである。昨年度は、60量体からなるシェル構造を形成する超好熱菌 Aquifex aeolicus由来のルマジン合成酵素(AaLS)を改変し、大腸菌内で共発現させた標的タンパク質を自発的かつ特異的にシェル内に取り込むシステムを構築した。本年度は、さまざまなpHに調整した緩衝液中でのAaLS改変体シェルの安定性を動的光散乱(DLS)法によって評価した。その結果、AaLS改変体シェルは中性条件下においては安定であり、pH6以下の酸性条件下においては崩壊して凝集体を形成することが示唆された。また、本年度はSalmonella enterica由来のバクテリアルマイクロコンパートメント(BMC)を構成するタンパク質であるPduUとEutSに注目し、これらのタンパク質を基とした人工シェルの創成を試みた。具体的には、これらタンパク質の片側表面に負電荷をもつアミノ酸変異を導入した後、error prone PCR (epPCR) を用いてランダムな変異を導入したシェルタンパク質ライブラリーを構築した。本ライブラリーの中から、正電タグを付与した毒性タンパク質を内包可能なシェルを選別することによって、目的とする進化体を得た。さらに、進化体シェルのTEM解析によって、PduU進化体は、それのみで直径約30、50、70 nmの球状のシェル構造を形成可能なことを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、ゲノムデータベースから選び出したバクテリアルマイクロコンパートメント(BMC)由来のシェル遺伝子を基とした設計および分子進化によって、大腸菌内で共発現するだけで、標的タンパク質を内包可能な新たな人工タンパク質シェルの創出に成功したため。また、昨年度開発に成功した標的分子に特異的な相互作用タグを有するAaLS改変体についてもさまざまなpH条件下における安定性を評価した結果、エンドソームなどの酸性条件下で内包物を放出可能なシェルの開発につながることが期待される結果を得たため。

今後の研究の推進方策

昨年度開発に成功したAaLS改変体は、ネガティブ染色を用いた透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって、直径16 nmと29 nmの2種類のシェル構造を形成することがわかっている。また、本年度開発に成功したPduU進化体については、同様のTEM観察によって、直径約30、50、70 nmなどのさまざまな大きさのシェル構造を形成することを見出している。今後は、クライオ電子顕微鏡を用いたより詳細な構造解析によって、これらAaLS改変体とPduU進化体の新規シェル構造を明らかにしたい。また、酸性条件下で崩壊することが示唆されたAaLS改変体については、細胞内のエンドソームにおいて内包物を放出することのできるドラッグデリバリーシステム(DDS)に利用できる可能性があるため、細胞を用いた検討・評価を行う予定である。さらに、外部刺激に応答して内包物を放出するような機能をもつ新たな人工タンパク質シェルの創成にも取り組む予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 非ウイルス性タンパク質シェル工学の現在と将来展望2022

    • 著者名/発表者名
      佐々木 栄太, 花岡 健二郎
    • 雑誌名

      JSMI Report

      巻: 15 ページ: 11-16

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 循環置換BMCタンパク質の分子進化による新規シェル構造体の創出2023

    • 著者名/発表者名
      藤井惇嗣, 佐々木栄太, 花岡健二郎
    • 学会等名
      日本ケミカルバイオロジー学会第17回年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] BMCタンパク質の分子進化による新規シェル構造体の創出2023

    • 著者名/発表者名
      藤井惇嗣, 佐々木栄太, 花岡健二郎
    • 学会等名
      第23回日本蛋白質科学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] DDSへの応用を目指した人工タンパク質シェルの開発2023

    • 著者名/発表者名
      佐々木栄太, 竹田彩華, 滝野哲也, 花岡健二郎
    • 学会等名
      第35回バイオメディカル分析科学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 標的タンパク質の内包と放出を可能とする人工タンパク質シェルの開発2023

    • 著者名/発表者名
      佐々木栄太, 竹田彩華, 滝野哲也, 花岡健二郎
    • 学会等名
      第17回バイオ関連化学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Creation of Novel Proteinaceous Shell Structures through Molecular Evolution of Bacterial Microcompartment (BMC) Shell Proteins2023

    • 著者名/発表者名
      Eita Sasaki, Atsushi Fujii, Kenjiro Hanaoka
    • 学会等名
      12th Annual Conference of the International Chemical Biology Society
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 標的タンパク質を特異的に内包可能な人工タンパク質シェルの開発2023

    • 著者名/発表者名
      竹田 彩華、佐々木 栄太、山田 創太、花岡 健二郎
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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