研究課題/領域番号 |
22K05339
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
古徳 直之 立命館大学, 薬学部, 准教授 (20362618)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 海洋天然物 / 抗ガン剤 / 作用メカニズム / 膵臓ガン / 創薬化学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ガンの中で最も治療満足度の低い膵臓ガンに対する新規治療薬の創製と、既存の薬剤に対して膵臓ガン細胞が示す薬剤耐性の解明を目指して、海洋天然物を基軸とした創薬化学研究を展開する。 新規アルカロイドaleutianamineについては、全合成研究を行うとともに、関連化合物群についても網羅的な活性評価を行い、新規リード化合物創出の一助とする。また、makaluvamine Jを基盤とした各種誘導体の合成と活性評価を通して、真に実用的な抗ガンリード化合物の創出を目指す。さらに、これら化合物の作用機序解析から、膵臓ガン細胞が示す薬剤耐性の機構を明らかにし、膵臓ガンの新たな治療戦略を開拓する。
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研究実績の概要 |
Aleutianamineの不斉全合成を目指した研究の一環として、本化合物の右半分に相当する、2-aza-8-thiabicyclo[3.2.1]octane骨格の構築に向けた検討を行った。超原子価ヨウ素反応剤を用いた分子内スピロ環化反応と続くジエノンーフェノール転位を用いた環拡大によって七員環を構築した後、再度超原子価ヨウ素反応剤を作用させてジエノン構造へと導き、分子内thia-マイケル付加を経て、天然物とほぼ同様の骨格を有するモデル化合物の合成に成功した。また、天然物と同様のindolequinone誘導体に対しても同様の変換反応が進行するか検討した。 また、makaluvamine Jを基盤とした創薬化学研究を進めるにあたり、makaluvamine Jの全合成経路の開拓に向けた検討を行なった。Bartoliインドール合成による7位置換インドールの構築とIBX酸化、および分子内環化によって、前駆体となるDamirone C誘導体へと導いた後、イミン窒素へのメチル化とチラミン側鎖の導入を経て、makaluvamine Jの全合成に成功した。さらに、本合成経路を種々の誘導体合成へと適用すべく、イミン窒素および側鎖部の誘導化について検討し、非天然型の置換基導入が問題なく進行することを見出し、今後の構造活性相関研究につながる重要な知見を得た。 一方、関連する研究として、超原子価ヨウ素反応剤を用いた新規な酸化的分子内環化反応を見出すとともに、これを用いて、makaluvamine類と類似の三環性骨格を有し、抗潜在性結核活性を示すアルカロイド3-(phenethylamino)demethyl(oxy)aaptamineの全合成を達成した。 以上の成果について、学会発表および学術雑誌への論文投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Aleutianamine、makaluvamine Jともに、おおむね当初の計画通りに合成研究が進展し、それぞれ上述の成果を得ることができた。特にmakaluvamine Jについては、各種誘導体の合成を可能とする合成法の確立に成功している。また、得られた化合物の活性評価についても検討を始められる状況が整ったため、研究費の前倒し請求を行い、次年度以降に行う予定だった研究のうち一部についても遂行した。
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今後の研究の推進方策 |
Aleutianamineについては、前年度にモデル化合物を用いた検討で得られた知見を踏まえ、真正の系へ適用し、世界初の不斉全合成に向けて引き続き合成を進める。Makaluvamine Jについては、前年度で確立した合成法を利用して、異なる置換基を有する誘導体を種々合成し、構造活性相関を解析する。
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