研究課題/領域番号 |
22K05346
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
堤 浩 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70398105)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ペプチド / 自己集合 / 生理活性 / 蛍光プローブ / pH / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍微小環境は、がん細胞や細胞外マトリックスなどが入り混じって形成される腫瘍組織に特有の環境であり、がん細胞の悪性化(高い浸潤・転移能や抗がん剤への抵抗性など)の要因となっていることが示唆されている。本研究では、がん細胞の機能を制御する生理活性ペプチドと、がん細胞外のpH変化またはマトリックス分解酵素の活性をイメージングする蛍光プローブを組み込んだ自己集合化ペプチドゲルを用い、がん細胞の三次元培養による腫瘍微小環境の構築とその蛍光イメージングを行う手法の確立を目指す。本研究は、腫瘍微小環境の詳細な理解と、それに基づくがん治療薬の開発に貢献すると期待される。
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研究実績の概要 |
腫瘍微小環境は、がん細胞や細胞外マトリックスなどが入り混じって形成される腫瘍組織に特有の環境であり、がん細胞の悪性化(高い浸潤・転移能や抗がん剤への抵抗性など)の要因となっていることが示唆されている。特に、腫瘍組織内の酸性環境やマトリックス分解酵素の分泌が、がん細胞の悪性化に寄与していることが認識されはじめ、がん疾患の悪性化のメカニズム解明や治療薬の開発のためには、がん細胞を三次元的に培養して腫瘍微小環境を構築するとともに、微小環境をリアルタイムに可視化解析する手法が求められている。本研究では、がん細胞の機能を制御する生理活性ペプチドと、がん細胞外のpH変化またはマトリックス分解酵素の活性をイメージングする蛍光プローブを組み込んだ自己集合化ペプチドゲルを用い、がん細胞の三次元培養による腫瘍微小環境の構築とその蛍光イメージングの手法を確立することを目的とした。 今年度は、生理活性ペプチドを組み込んだ自己集合化ペプチド誘導体の合成を行った。細胞外マトリックスタンパク質由来の生理活性ペプチドを複数選択し、固相合成法により合成した。自己集合化ペプチドを液相合成し、固相担体上で生理活性ペプチドと連結させた自己集合化ペプチド誘導体を合成した。種々の生理活性ペプチドを自己集合化ペプチドに導入する手法を確立した。また、蛍光pHプローブの合成と機能評価を実施した。親水性アミノ酸を導入することで水溶性を向上させた蛍光pHプローブを種々合成し、分光特性を評価した結果、弱酸性環境で蛍光性となるpHプローブを見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、蛍光プローブの合成と機能評価および生理活性ペプチドを導入した自己集合化ペプチドの合成を計画していた。生理活性ペプチドを導入した自己集合化ペプチドの合成は問題なく進行させることができた。さまざまな配列の生理活性ペプチドを導入した自己集合化ペプチドの合成法を確立することができた。蛍光プローブの合成と機能評価については、蛍光pHプローブに焦点を絞って研究を進めた。母核となる蛍光色素ローダミンの水溶性の低さが課題であったため、ローダミンに親水性アミノ酸を導入することで水溶性の向上を検討した。負電荷をもつグルタミン酸をローダミンに導入することで水溶性が大幅に向上した。また、蛍光応答のpKaを弱酸性領域に調整するためにアミノ酸骨格を種々検討し、最適化することができた。以上より、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
「蛍光プローブを導入した自己集合化ペプチドの合成」を実施する。令和4年度に水溶性を改善した蛍光pHプローブの合成と機能評価まで完了しており、令和5年度は、蛍光pHプローブを導入した自己集合化ペプチド誘導体を合成する。令和4年度に合成した生理活性ペプチド導入自己集合化ペプチドも用いて、生理活性ペプチドおよび蛍光プローブを提示した自己集合化ペプチドゲルを調製し、構造解析と蛍光応答能を評価することにより、研究計画を完遂する。 令和5年度は、「がん細胞の三次元培養による腫瘍組織モデルの構築」を実施する。これまでに、ヒト乳腺がん由来細胞MCF7と正常組織由来細胞HEK-293から、緑色蛍光タンパク質GFPを安定発現する細胞株をそれぞれ樹立している。これらの細胞を用い、生理活性ペプチドを導入した自己集合化ペプチドゲル内での三次元培養を実施する。
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