研究課題/領域番号 |
22K05348
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
|
研究機関 | 東京工業大学 (2023) 北陸先端科学技術大学院大学 (2022) |
研究代表者 |
渡邉 貴嘉 東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (70554020)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | ペプチド / ケージド化合物 / 非天然アミノ酸 / 進化分子工学 / 抗体 / SELEX |
研究開始時の研究の概要 |
生体内における分子間相互作用などの生命現象は局所的かつ連続的に起こっており、それらを人為的に制御する方法としてケージド化学は非常に有用である。しかし、これまではケージド化により対象分子の活性をOFFにしておき、光照射でONにすることのみが可能であり、またケージド基を結合させる官能基を持たない分子のケージド化は困難であった。そこで本研究では、ケージド化学と進化分子工学的手法を組み合わせることで、光照射によって標的分子から解離する「OFF型ケージドペプチド」および光照射によって標的分子の切り換えが可能な「標的スイッチ型ケージドペプチド」の創製を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究では、光照射によって標的分子から解離する「OFF型ケージドペプチド」および光照射によって標的分子から解離したペプチドが別の標的分子に結合するようになる「標的スイッチ型ケージドペプチド」の創製を目指して研究を進めている。 令和5年度は、まずは令和4年度に実施したケージドペプチドのセレクションで得られたペプチド-cDNA複合体の塩基配列をより詳細に調べ、複数種類のケージドペプチド候補を選定した。そして、それらの標的抗体分子への結合を調べたところ、光照射前後で十分な結合活性差を示すケージドペプチドが見出された。また、標的抗体分子に結合する全く新規なペプチド配列の取得にも成功した。 続いて、令和4年度に構築したケージドアミノ酸を組み込んだペプチドライブラリを用いてOFF型ケージドペプチドのセレクションを行った。具体的には、標的分子Aが固定化された磁気ビーズにケージドペプチド-cDNA複合体ライブラリを加え、標的分子Aに結合した成分を分別した。その後、光照射によりケージド基を脱離させ、標的分子Aから遊離したペプチド-cDNA複合体を回収した。回収したcDNAを増幅し、これらの操作を繰り返すことでセレクションを行った。そして、得られたペプチド-cDNA複合体の塩基配列を次世代シーケンサー(NGS)で解析したが、特定のアミノ酸配列を有するペプチド配列が有意に濃縮されなかった。その原因として、磁気ビーズに結合した状態のペプチド-cDNA複合体の光照射が不十分であることが判明したため、光照射条件や磁気ビーズの種類を検討したところ、最適な光照射条件を見出すことに成功した。さらに、ペプチド発現効率を高めるための無細胞翻訳液の組成およびペプチドディスプレイ効率を高めるためにRNA配列などの検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度中にOFF型ケージドペプチドの取得には至らなかったが、OFF型ケージドペプチドをセレクションするための光照射条件、無細胞翻訳組成、およびペプチドディスプレイ効率の検討を行ったことで、本研究の進展が見られた。このようにして構築したin vitroセレクションの研究基盤は、標的スイッチ型ケージドペプチドのセレクションにも十分適用可能であることからも、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も様々なケージドアミノ酸を化学合成しcDNAディスプレイ法に組み込むことで、ケージドペプチド-cDNA複合体ライブラリの構築を継続する。そして、構築したライブラリと令和5年度にアップデートしたin vitroセレクション条件を組み合わせることで、OFF型ケージドペプチドの取得を進める。OFF型ケージドペプチドのセレクション後に、標的スイッチ型ケージドペプチドの取得を目指す。そのためにまず、標的分子Aに結合するケージドペプチド-cDNA複合体を回収する。その後、一旦ビーズから遊離させ、そこに標的分子Bを固定化したビーズを加えて、ケージド状態では標的分子Bに結合しないものを回収する。そして光照射によりケージド基を脱離させたあと、標的分子Bに結合するペプチド-cDNAを回収することで、標的スイッチ型ケージドペプチドの取得を目指す。 セレクションで得られたOFF型ケージドペプチドおよび標的スイッチ型ケージドペプチドは、光照射前後における動物培養細胞に対する活性を評価する。
|