研究課題/領域番号 |
22K05351
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堂浦 智裕 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (00745226)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 化学遺伝学 / Gタンパク質共役型受容体 / 代謝型グルタミン酸受容体 / 薬物動態 / コンディショナルノックインマウス / ケモジェネティクス / Gタンパク質共役型受容体(GPCR) / リガンド / ノックインマウス / GPCR / 受容体 / 活性制御 |
研究開始時の研究の概要 |
代謝型グルタミン酸受容体は中枢神経系において様々な生理学的機能に関わることが知られているが、代謝型グルタミン酸受容体は中枢神経系の様々な細胞種に発現しているため、その生理学的機能を正確に理解するには至っていない。代謝型グルタミン酸受容体は脳神経系の様々な疾患との関連性が指摘されているため、代謝型グルタミン酸受容体の生理学的機能を発現細胞種別に理解することは疾患の治療法の開発につながる可能性がある。本研究では解析対象となる受容体の生体内での機能を損なうことなく人工的に設計したリガンドを用いてのみ受容体活性を制御することを可能にする、次世代のケモジェネティクスを確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究ではGPCRの機能をサブタイプ選択的かつ細胞種選択的に解析可能な方法論の開発研究を実施している。昨年度までに、GPCRの一つであるmGlu1の野生型を阻害し変異型を阻害しないリガンドとしてMPETを見出した。2023年度は実験動物の生体内でMPETによる野生型mGlu1の阻害が可能かどうか調べるため、MPETの薬物動態と体内分布に関する検討を実施した。 MPETの薬物動態と体内分布の解析は陽電子放出断層撮影(PET)より実施した。合成した放射性同位体ラベル化MPETをマウスに尾静脈注射し、放射性同位体ラベル化MPETの体内分布と薬物動態を測定した。この実験より、MPETがマウスの血液脳関門を透過することとmGlu1が多く発現している小脳に集積することを確認した。脳内からのMPETの時間依存的な減少も観察され、数時間以内にMPETが対外へ排出されることが示された。また、経口投与したMPETがマウス脳内のmGlu1に結合するのかどうか検証するため、MPETを経口投与した後に放射性同位体ラベル化MPETを尾静脈注射し、PET実験を実施した。MPETを経口投与することにより放射性同位体ラベル化MPETの小脳への集積が検出されなくなったことから、経口投与したMPETが血液脳関門を透過して脳内のmGlu1に結合することが明らかとなった。 また、小脳のmGlu1がマウスの運動学習に及ぼす影響を調べるためのコンディショナルノックインマウスの作製を実施した。全身のmGlu1が変異型になるfloxマウスを作製し、小脳特異的プロモーター制御下でCreリコンビナーゼを発現するマウスと交配させることにより目的とするコンディショナルノックインマウスを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主目標である動物個体内でGPCRを細胞種選択的に制御する化学遺伝学的な系の構築に向けて、使用するリガンドの動物個体内での薬物動態と分布についての解析に成功した。本研究成果は上記の主目標の実現に向けた大きな進歩であると考えられる。また、主目標の実現に向けたコンディショナルノックインマウスの開発にも成功した。そのため、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
動物個体内での細胞種選択的なGPCRの機能解析に向けて、使用するリガンドの薬物動態と体内分布についての情報を得ることに成功した。また、動物個体内での細胞種選択的なGPCRの制御を可能にするコンディショナルノックインマウスの作製にも成功した。今後はこれらを利用して実験動物の行動実験を実施し、その結果から動物個体内での細胞種選択的なGPCRの機能解析を実施する予定である。
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