研究課題/領域番号 |
22K05353
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
板東 俊和 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20345284)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | DNA配列認識 / DNA構造認識 / 結合性リガンド |
研究開始時の研究の概要 |
本研究提案では、我々の研究室で開発する様々な機能性を付与したPIポリアミドを用いて、培養ヒト細胞に対する特異的な機能について最新の解析測定機器を用いて分子レベルで詳細に解析する。本研究の進展によって、DNA結合性分子が生細胞内で機能する際に引き起こされる標的遺伝子群の発現量変化、細胞膜透過性や各細胞組織に対する局在性などについて、新しく合成する環状PIポリアミドの機能評価を進め、基盤技術としての有用性を確認する。
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研究実績の概要 |
本研究提案では、我々の研究室で開発する様々な機能性を付与したピロール-イミダゾール(PI)ポリアミドを用いて、培養ヒト細胞に対する特異的な機能について最新の解析測定機器を用いて分子レベルで詳細に解析する。本研究の進展によって、DNA結合性分子が生細胞内で機能する際に引き起こされる標的遺伝子群の発現量変化、細胞膜透過性や各細胞組織に対する局在性などについて、新しく合成する様々なPIポリアミドの機能評価を進め、基盤技術としての有用性を確認する。 令和5年度の主な研究成果として、数年前から前島教授らとの共同開発を継続していたCAG/CTG繰り返し配列を標的とする環状PIポリアミドの研究成果がまとめられ、論文として報告した。環状PIポリアミドのDNA配列特異的な結合親和性や転写伸長阻害が実験的に確認された事に加えて、異常伸長したCAG/CTGトリプレットリピートを持つ培養細胞や発症モデルマウスを用いて生物学的に有意な薬効評価を実施した。この研究によって、疾患要因となっているRNA、タンパク質レベルでの特異的な抑制を可能にするトリプレットリピート結合性リガンドの開発が進んだ。また、ミトコンドリアDNAを標的とするPIポリアミドconjugatesの合成法の改善や、細胞内集積性、膜透過性の評価を進め、ミトコンドリア遺伝子特異的な発現制御に向けた薬剤候補化合物の開発も進めた。得られた知見は、PIポリアミドによる薬剤開発研究を展開していく上で有用であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者は、分子間の水素結合を介してDNA塩基配列中のG/CやA/T塩基対を認識し、強いDNAとの親和性をもつPIポリアミドの研究開発を行ってきた。その研究成果を高い汎用性と信頼性をもつ基盤技術として展開するために、培養ヒト細胞に対するPIポリアミドの特異性、透過性、局在性等の機能解析評価を遂行することを目指している。 今年度は、遺伝子発現制御に関する研究展開として、PIポリペプチドへミトコンドリア膜特異性を有するトリフェニルフォスフィン基の導入法を改善することによって、ミトコンドリアDNAを標的とするPIポリアミドconjugatesの開発研究を進めた。特に、前島教授らとの共同研究として、CAG/CTG繰り返し配列を標的とする結合性リガンドの開発研究が進み、新規薬剤としてのPOC評価に向けた可能性を示すことに成功した。このように、研究代表者は、PIポリアミドを基盤技術とする機能分子や解析評価を進め、本研究目的の達成に向けて、計画以上に進展させることができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は、Gに富む配列を持ったDNAが構成するG4(四重鎖)構造に結合性を有する様々なPDS-PIポリアミド誘導体の合成開発も進めている。今後、合成した誘導体を用いて、培養細胞内でのG4結合性や特異的な遺伝子発現抑制機能に関する解析評価を進めてる予定である。これらの研究遂行により得られる成果を基盤として、様々なPIポリアミド誘導体の機能解析評価を進め、結合性リガントとしての基盤を整えていく。
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