研究課題/領域番号 |
22K05355
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹本 操 京都大学, 化学研究所, 研究員 (00868218)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 共有結合性天然化合物 / T細胞免疫機能の賦活化 / がん免疫治療 / T細胞の免疫機能 |
研究開始時の研究の概要 |
がん免疫治療効果の向上のためには、がん微小環境下におけるT細胞の免疫機能を特異的・効率的に賦活化させる化合物が求められる。申請者は、がん微小環境下におけるT細胞を模倣する独自の培養細胞系を構築し、求電子的な反応基を有する天然化合物ライブラリーをスクリーニングした。その結果、ステロイド骨格を有するCucurbitacin BのO-配糖体であるCucurbitacin B 2-O-beta-D-glucoside (CuBg) がT細胞の免疫機能を賦活化することを見出した。本研究では、CuBgが如何にしてT細胞の免疫機能を亢進するのかを明らかにし、既存の免疫治療との併用療法としての応用を目指す。
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研究実績の概要 |
申請者が発見したT細胞の免疫機能を亢進する共有結合性天然化合物には、様々な類縁体が存在する。今回、その類縁体を用いて、その共有結合性天然化合物の構造活性相関をより詳細に評価した。その結果、構造にあるマイケル受容体も活性に重要であることがわかった。マイケル受容体は、タンパク質中のシステイン残基と共有結合する特性がある。この共有結合性天然化合物が標的タンパク質中のシステイン残基と共有結合するのか、ゲルシフトアッセイ法により検討した結果、共有結合性化合物は野生型標的タンパク質と共有結合するが、標的タンパク質CS変異体では結合しなかった。また、マイケル受容体の二重結合を単結合にした類縁体は標的タンパク質と共有結合できなかった。よって、共有結合性天然化合物のマイケル受容体は、標的タンパク質のシステイン残基と共有結合するのに重要であり、T細胞の活性化を増加することがわかった。 この共有結合性天然化合物の標的タンパク質下流因子について評価したところ、この共有結合性天然化合物の添加により、その下流因子は著しく活性化していた。また、この下流因子の阻害剤と共有結合性天然化合物をT細胞に共処理すると、T細胞免疫賦活化能が相殺された。よって、この共有結合性天然化合物は、標的タンパク質と共有結合することで、その下流因子の活性を促進し、T細胞の活性を増加したがわかった。 最近、ミトコンドリア機能の向上が、T細胞の活性に重要であることが報告されている。実際に、シーホースを用いて、この共有結合性天然化合物の添加により、プライマリーT細胞のミトコンドリア機能が亢進したことがわかった。 最後に、マウスモデル実験で、がん免疫治療との併用治療において、この共有結合性天然化合物の有効性が実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2、3年目に計画していた次の事項が実証することができた。 1)T細胞の免疫機能を亢進する共有結合性天然化合物が標的タンパク質との結合により、ミトコンドリア機能を高め、T細胞の免疫機能を向上したことを実証できた。 2)マウスモデル実験で、免疫チェックポイント阻害剤を用いたがん免疫治療との併用治療において、この共有結合性天然化合物の有効性を実証できた。
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今後の研究の推進方策 |
T細胞の免疫機能を亢進する共有結合性天然化合物の作用機序について、より詳細に解明していく。 (1)どのようにして、共有結合性天然化合物がミトコンドリア機能を亢進しているのか、その代謝経路を調べる。 (2)この共有結合性天然化合物の標的タンパク質がT細胞の免疫活性に重要であるか、標的タンパク質をノックダウンした細胞を用いて検討し、また、標的タンパク質とミトコンドリア機能の関連を調べる。
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