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脳動脈瘤病変部位のマクロファージイメージングMRI造影剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K05356
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
研究機関京都大学

研究代表者

近藤 輝幸  京都大学, 工学研究科, 教授 (20211914)

研究分担者 木村 祐  京都大学, 工学研究科, 准教授 (90566027)
三浦 理紗子  京都大学, 工学研究科, 助教 (40881694)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード磁気共鳴イメージング / マクロファージ / 未破裂脳動脈瘤 / ナノ粒子造影剤 / ガドリニウム
研究開始時の研究の概要

くも膜下出血は、現在の医療水準で最大限の治療を行っても死亡率は 50% を超え、治療後も半身麻痺などの後遺症が残ることが多く、社会復帰が困難な重篤な疾患である。くも膜下出血の主原因である脳動脈瘤の縮小化、破裂回避のための薬物治療法はなく、外科手術のみが治療法であるため「アンメットメディカルニーズ」の高い疾患である。一方、脳動脈瘤は、血管分岐部に見つかることが多く、血流ストレスによる血管壁の慢性炎症性疾患と考えられる。本研究では、脳動脈瘤病変部位に高集積するマクロファージの MRI 画像化を実現するため、生体適合性に優れたポリマーで表面被覆した Gd ナノ粒子造影剤を開発する。

研究実績の概要

本研究では、くも膜下出血の主原因である脳動脈瘤破裂のリスクを、病変部位に高集積するマクロファージの MRI 画像により層別化するために必須のコンビネーションプロダクトとして、革新的 Gd ナノ粒子 MRI 造影剤を開発する。特に、“active” な脳動脈瘤に高集積するマクロファージイメージングに有効な新規 Gd ナノ粒子型 MRI 造影剤を開発し、脳動脈瘤の破裂リスク評価を実現する。
令和 5年度は、令和4年度に、in vitro でのマクロファージへの取り込み量、および MRI 造影能として水のプロトンの縦緩和能 r1、および横緩和能 r2 測定の結果に基づき選択した2種類の PMMA 被覆 Gd2O3 ナノ粒子および Dex 被覆 GdPO4 ナノ粒子について、まず、細胞毒性について検討した。その結果、いずれの Gd ナノ粒子も顕著な細胞毒性を示さなかった。続いて、マウスを用いる体内動態と生物学的安全性について検討した結果、PMMA 被覆 Gd2O3 ナノ粒子は、マクロファージ以外にも、大動脈プラーク、脾臓、および肝臓に蓄積しており、胆汁排泄されると考えられた。一方、Dex 被覆 GdPO4 ナノ粒子は、マクロファージ選択的に高集積し、大動脈プラーク、脾臓、および肝臓にはほとんど検出されず、また腎臓で少量検出されたことから、腎臓から尿排泄されるより安全な MRI 造影剤であると考えられる。
なお、Dex 被覆 GdPO4 ナノ粒子は、調整時に凝集しやすいという問題があった。その解決のため、静電反発により凝集し難く、抗体での表面修飾も可能なカルボキシメチル基を導入した Dex で表面被覆した GdPO4 ナノ粒子の合成にも成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和 4年度、令和5年度の結果に基づき、最終年度である令和6年度は、ラット動脈瘤モデルおよびラット動脈瘤破裂モデルに、Dex および CM-DX 被覆 GdPO4 ナノ粒子を尾静脈投与し、動脈瘤病変部位に高集積しているマクロファージの MRI 画像化、およびマクロファージの集積量をリアルタイムで定量化する。さらに、外部委託により、ラット単回最大投与量を明らかにし、非臨床試験実施のために必要なデータを収集する。従って、本研究は、当初の計画通り、順調に進展している。

今後の研究の推進方策

最終年度は、令和 4 年度および令和5年度の研究成果に基づき、「Dex 被覆 GdPO4 ナノ粒子」および「CM-Dex 被覆 GdPO4 ナノ粒子」について、ラット動脈瘤モデルに尾静脈投与し、動脈瘤病変部位に高集積している炎症性マクロファージの MRI 画像化について検討する。また、外部委託により、非 GLP での Dex および CM-Dex 被覆 GdPO4 ナノ粒子のラット単回最大投与量を決定し、その投与量以下でのマクロファージの MRI 画像化に必要な Gd ナノ粒子の最適投与量、および明瞭な MRI 画像を得るためのGd ナノ粒子投与後、MRI 造影を行うタイミング(時間)を明らかにする。
本研究では、脳動脈瘤病変部位という脳内の非常に限られた領域に高集積するマクロファージの MRI 画像により、脳動脈瘤の破裂リスクの層別化を行うことが最終目標である。そのためには、まず、① 近接する動脈瘤内の血液由来の MRI 信号によるバックグラウンドノイズを無信号化し、マクロファージ由来の MRI 信号のみを増強する Black Blood 法による MRI 画像化を行う。次に、② 従って、ラット動脈瘤“破裂”モデルを用いて Gd ナノ粒子 MRI 造影剤による画像化を行い、動脈瘤が破裂するマクロファージの最大集積量を明らかにする。そのために、③ R1 マッピングを行い、マクロファージに貪食された Gd のボクセル内の定量を行い、②と一致することを明らかにし、脳動脈瘤の破裂リスクの層別化を実現する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 学会発表 (11件) (うち招待講演 2件) 備考 (4件)

  • [学会発表] 腫瘍セラノスティクスを指向した抗がん剤複合化ガドリニウム酸化物ナノ粒子の合成2024

    • 著者名/発表者名
      〇王 星辰、木村 祐、今井悠太、三浦理紗子、今井宏彦、近藤輝幸
    • 学会等名
      公益社団法人 日本化学会 第104春季年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 化学の力で疾患を見つける ~ 生体イメージングを支える化学 ~2024

    • 著者名/発表者名
      近藤輝幸
    • 学会等名
      京都大学 福井謙一記念研究センター 2023年度 産業応用のための基礎化学講座(第4回)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] セラノスティクスを目指した多糖ナノゲル型光音響プローブの開発2023

    • 著者名/発表者名
      〇鏡味 磨央・三浦 理紗子・木村 祐・近藤 輝幸
    • 学会等名
      公益社団法人 日本化学会 秋季事業 第13回 CSJ化学フェスタ2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 革新的分子プローブの設計・合成と生体イメージングへの応用2023

    • 著者名/発表者名
      近藤輝幸
    • 学会等名
      一般財団法人 有機合成化学研究所 産学共同学習セミナー 令和5年度第1回「新物質・新材料研究会」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 多糖ナノゲルを用いた光音響応答性セラノスティクスプローブの開発2023

    • 著者名/発表者名
      鏡味 磨央,三浦 理紗子,木村 祐,秋吉 一成,近藤 輝幸
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ゼラノスティクスを目指す光音響-磁気共鳴イメージングに有効な抗癌剤複合化酸化ガドリニウムナノ粒子の合成と機能評価2023

    • 著者名/発表者名
      王 星辰,木村 祐,今井 悠太,三浦 理紗子,今井 宏彦,近藤 輝幸
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 未分化 iPS 細胞の磁気共鳴イメージングのための GdPO4 ナノ粒子への抗体修飾と機能評価2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木 伸二, 木村 祐, 升本 英利, 今井 宏彦, 村田 梢, 湊谷 謙司, 近藤 輝幸
    • 学会等名
      日本バイオマテリアル学会関西ブロック 第17回若手研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 光音響イメージングによる腫瘍免疫環境の可視化を目的とする多糖ナノゲルの開発と機能評価2022

    • 著者名/発表者名
      堤 暁生, 三浦 理紗子, 木村 祐, 秋吉 一成, 近藤 輝幸
    • 学会等名
      第16回日本分子イメージング学会総会・学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Development of Doxorubicin-conjugated Gd2O3 Nanoparticles as a PA-MR Dual Imaging Probe Towards Theranostics2022

    • 著者名/発表者名
      Xingchen Wang, Yu Kimura,Yuta Imai, Risako Miura, Hirohiko Imai,Teruyuki Kondo
    • 学会等名
      第16回日本分子イメージング学会総会・学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ナノ粒子型 Gd-MRI 造影剤-水分子相互作用の NMR 観察2022

    • 著者名/発表者名
      木村 祐, 金田 啓佑, 吉田 七瀬, 三浦 理沙子, 今井 宏彦, 近藤 輝幸
    • 学会等名
      第16回日本分子イメージング学会総会・学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 光音響イメージングによる腫瘍免疫環境の可視化を目的とする多糖ナノゲルの開発と機能評価2022

    • 著者名/発表者名
      堤 暁生, 三浦 理紗子, 木村 祐, 秋吉 一成, 近藤 輝幸
    • 学会等名
      第12回CSJ化学フェスタ2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 研究室ホームページ

    • URL

      https://www.abe.ehcc.kyoto-u.ac.jp/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 京都大学工学部公開講座・オープンセミナーでの講演(ZOOM 録画)

    • URL

      https://www.youtube.com/watch?v=KV_tlHMBRMQ

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考]

    • URL

      https://www.abe.ehcc.kyoto-u.ac.jp/

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考]

    • URL

      https://www.youtube.com/watch?v=KV_tlHMBRMQ

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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