研究課題/領域番号 |
22K05361
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
松山 晃久 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (90399444)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | タンパク質ータンパク質間相互作用 / ケミカルバイオロジー / タンパク質-タンパク質間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞内で働くタンパク質がどのようなタンパク質と相互作用して機能しているかを調べるために、申請者らがこれまでに築いてきた分裂酵母の全遺伝子コレクションと、1人で膨大な数のサンプルを扱う技術を活かして、NanoBiTと呼ばれるルシフェラーゼ酵素を用いた相互作用の検出系と組み合わせた実験系を構築する。また、研究の後半ではその実験系をさらに発展させて、医薬品開発などにおいて重要な生理活性物質の標的タンパク質を探索する実験系の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、生命現象の基盤となっているタンパク質-タンパク質間相互作用を解析するための方法として、近年注目されているNanoBiT発光補完法を分裂酵母の全遺伝子ライブラリーと組み合わせることで、タンパク質の相互作用相手を網羅的にスクリーニングする実験系を開発することを目指した。 このようなスクリーニング系において常に問題になるのは、タンパク質とタグとの位置関係により、タンパク質の機能あるいは相手タンパク質との相互作用の阻害が起こることである。そこで、タグ融合時における立体障害等の問題を可能な限り回避できるように、遺伝子をLgBiTと融合させる際にORFの5'末端にLgBiTを融合させるタイプの発現ベクターと、3'末端に融合させるタイプのベクターを別々に用意し、これらを同時に1つの株に発現できるようにした。しかし、本年度の解析の結果、このような染色体挿入型ベクターを用いてゲノムにGFPなどの蛍光タンパク質の遺伝子を挿入した際に得られる形質転換体の中には、非常に強い蛍光を発する細胞が生じることがわかった。これらの形質転換体は外来遺伝子が複数コピー導入されていることを示唆しているが、その出現頻度は数%程度と、通常の実験に用いるにはかなり不安が残る頻度と言える。現状、このような複数コピーの遺伝子が導入された形質転換体を排除する方法がないため、そのような形質転換体を誤って実験に用いてしまうのを回避する方法として、ベクターに蛍光タンパク質を別途発現するユニットを組み込み、形質転換体の蛍光強度を調べることにより、導入遺伝子が1コピーだけ染色体に組み込まれていることを確認できるシステムを構築した。これにより、コピー数の違いに起因するデータのばらつきが抑えられ、より定量的なデータが得られることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では、本年度に分裂酵母の全遺伝子をSmBiT発現ベクターにクローニングする予定であったが、スクリーニングする際に、より精度の高い安定したデータを得られるようにするために、発現ベクターのさらなる改良を行った。これにより、スクリーニングの開始自体は遅れることになるが、結果の解析と再現性の確認にかかる労力が軽減されることから、全体としては予定通りに研究が進むものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度開発した発現ベクターにより、染色体挿入の際に起こる導入遺伝子の多コピー化を防ぐことはできないが、多コピー化した形質転換体を簡単に見分けることができるようになった。そこで今後は本システムを取り入れたSmBiT発現用ベクターに分裂酵母の全遺伝子を組み込み、プレイ発現ライブラリーを作製する。 一方で、N末・C末にそれぞれLgBiTを融合させた2つのベイトを同時に発現させた場合に、それぞれ一方しか発現しない場合と比べてアドバンテージがあるかどうかを、相互作用が既知のタンパク質のペアを用いて検証する。
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