研究課題/領域番号 |
22K05377
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
松岡 聡 埼玉大学, 研究機構, 准教授 (90509283)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | グリセロ糖脂質 / 細胞膜透過性 / 枯草菌 / ECFシグマ因子 / 遺伝子発現制御 / チャネルタンパク質 / UgtP / 膜透過性 / グラム陽性菌 / 細胞表層ストレス応答 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌膜脂質を構成する脂質分子種は多様性に富むことから、個々の膜脂質分子種がそれぞれ特異的な生理機能を有することが予想される。その中で、分子機構が未解明な枯草菌のグリセロ糖脂質の膜透過性に関わる機能を解明するため、枯草菌チャネルタンパク質遺伝子破壊ライブラリーを用いたスクリーニングで、標的膜タンパク質を同定し、グリセロ糖脂質を含む人工膜系を組み込んだ無細胞タンパク合成系で機能を検証する。また、生理条件での枯草菌グリセロ糖脂質量の制御機構の解明や、グリセロ糖脂質合成酵素UgtPの立体構造解析を行ってグリセロ糖脂質分子種特有の生理機能を分子レベルで解明することを本研究目標とする。
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研究実績の概要 |
スクリーニングによって同定されたヨウ化プロピジウム(PI)透過性に関与する6種類の膜輸送体タンパク質をコードする遺伝子について、候補遺伝子の二重破壊株を作製し、候補遺伝子破壊によるプロモーター活性への影響を、野生株とグリセロ糖脂質欠損株で測定した。複数の組み合わせにおいても有意な差は認められなかったことから、グリセロ糖脂質欠損によるPIの膜透過の原因は、膜輸送体タンパク質の量的変化ではなく、機能(質)的変化、または他の(必須な)因子の機能に影響している可能性が示唆された。 生理条件でグリセロ糖脂質量がどのように制御されているのかを理解するために、ugtPプロモーター領域とlacZの転写融合コンストラクトとugtP転写に関わると予想されるECFシグマ因子破壊株を用いてグリセロ糖脂質合成酵素遺伝子ugtPの転写制御を解析したところ細胞外ストレス応答に関与するECFシグマファミリーに属するシグマMとシグマXが協調的にugtPの発現制御に関与する結果を得ていたが、高塩濃度条件での生育においてもugtP、シグマM、シグマXが重要てあることを示す結果を得た。 グリセロ糖脂質合成酵素UgtPは、アコレプラズマ属細菌やシロイヌナズナ由来の合成酵素とは異なり、1つの酵素が糖残基をジアシルグリセロールに段階的に付加する。この特異な酵素反応機構を分子レベルで明らかにするためにUgtPを大腸菌で大量発現・精製して結晶化条件検討を検討した。現在も引き続き、より良い結晶条件の検討を検討中である。また、変異を導入したUgtPタンパク質を用いての結晶化も試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度も実験計画はほぼ研究計画通りに進行することができたが、タンパク質の結晶化条件の検討などの課題も見られた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、同定したPI透過に係る膜輸送体タンパク質候補について、人工膜系を組み込んだ無細胞タンパク質合成系を確立し、グリセロ糖脂質の有無でPI透 過機能にどのような影響が起こるかを解析する。 ugtPの発現制御解析では、翻訳後制御に焦点を当てて解析を行う。また、UgtPタンパク質の結晶化条件を最適化し、その結晶構造解明を行う。
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