研究課題/領域番号 |
22K05383
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
阿野 嘉孝 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (00403642)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | PQQ酵素 / 酢酸菌 / 酵素 / グリセロール脱水素酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
酢酸菌は食酢製造に関わる伝統的な発酵微生物であるが、その能力は酢酸発酵にとどまらず多彩な化合物を生産することができる。この多彩な発酵能力はピロロキノリンキノン(PQQ)を補欠分子族としてもつPQQ酵素の「ゆるい」基質認識機構の恩恵である。 本研究では、このPQQ酵素に特徴的な「ゆるい」基質特異性を、指向性進化法を用いた酵素の改変により優良変異体酵素を獲得して解析することによって、構造学的な理解と産業利用を目指すものである。
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研究実績の概要 |
酢酸菌においてピロロキノリンキノン(PQQ)を補欠分子族とするPQQ酵素は、産業的な物質生産の中心的役割を担う重要な酵素群であり「ゆるい」基質特異性を示すことが特徴的である。このゆるい基質特異性に起因して新しく発見される酵素反応は、持続可能社会のための新たな微生物変換技術の創出にもつながることから注目されている。本研究では、このゆるい基質特異性の構造学的理解を深めるために、その障害となっていた酵素安定性の向上、さらには物質生産性の向上を目指して、進化指向的変異導入法を確立して優良変異体を獲得することを目的とし、得られた変異体酵素を用いて基礎研究および応用研究を深めることにある。 1年目となる今年度は、酢酸菌PQQ依存性グリセロール脱水素酵素(GLDH)の変異体取得に注力した。申請者の考案した「酢酸菌直接形質転換選抜法」を実施して各工程の最適化を図り、得られた変異体の性能価を進めた。また、ゲノムシャッフリングによる多重変異導入法の条件も確立し、GLDHの「指向性変異法」の確立に向けて大きな進展を得た。変異酵素の性能評価を実施した結果、獲得した変異体は負の影響をもたらすものが多く、期待する機能が向上した変異体取得に向けて継続した変異導入が必要であると判断した。その中で、2株の酵素活性の安定化に繋がる変異体の取得に成功し、変異体酵素の性能を評価するとともに、発酵生産性への影響を調査しているところである。 2年目以降は、これまでの継続した変異体取得に加えて、獲得した2株の優良変異体の性能評価、さらには多重変異の導入によりGLDHの指向性変異を進め、ゆるい基質得意性に関する知見を深めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、酢酸菌直接変異導入選抜法の最適化、および進化指向的変異にむけてゲノムシャッフリングによる多重変異導入の条件を確立した。あわせて2株の機能向上に関与する変異体取得に成功した。今後はこれらの変異体の詳細な解析とともに、新たな変異体の取得を並行して進め、酵素機能の安定化にかかわる重要なアミノ酸残基を見出していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目以降は、引き続き変異体の取得を進めるとともに、得られた2株の優良変異体の解析を進めていく予定である。具体的には、優良変異体の発酵生産性の評価とともに変異体酵素の可溶化、精製を行い、精製酵素での安定性を評価し、結晶構造解析に向けた知見を得ていく予定ある。
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