研究課題/領域番号 |
22K05388
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
林 郁子 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 准教授 (80464527)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 細胞骨格 / 植物 / 微小管 / カルシウム / 病原細菌 / カルモジュリン / タンパク質 / 立体構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
病原細菌は人・植物に関わらず病原因子(タンパク質)を宿主細胞に注入して病原性を発現させる。宿主に分泌されたタンパク質は宿主内のタンパク質を利用するなどして宿主の生理機能を攪乱する。植物病原細菌Pseudomonas syringaeは多くの植物に病原性を示すモデル的な病原細菌である。その病原因子のひとつHopE1は、宿主のカルシウム情報伝達タンパク質カルモジュリンと微小管結合タンパク質MAP65を介して植物細胞の免疫応答の誘導を阻害するが、その分子機構は明らかになっていない。本課題ではHopE1/CaM/MAP65複合体の立体構造解析を基盤として病原細菌の感染戦略を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
病原細菌は病原因子であるエフェクターを宿主細胞に注入し病原性を発現させる。宿主に分泌されたエフェクターは宿主内因子を利用するなどして宿主の生理機能を攪乱する。植物病原細菌Pseudomonas syringaeは植物に多くの疾病をもたらす代表的な病原細菌として植物免疫研究のモデル生物となっており、Ⅲ型分泌装置と50以上のエフェクター分子をもつ。エフェクター分子のひとつHopE1は宿主のカルシウム結合タンパク質カルモジュリンと協同して微小管束化因子MAP65を微小管から解離させ、最終的には免疫応答の誘導を阻害する。植物細胞において微小管は細胞表層に存在し、MAP65によって束化され安定化されることが広く知られる。しかしHopE1の作用により微小管の配向が変化しないことからHopE1の標的は微小管ではない可能性が考えられる。また植物細胞では病原体によってカルシウム応答が引き起こされるが、HopE1・カルモジュリン・MAP65複合体の分子間相互作用がカルシウム情報伝達系に与える影響など不明な点が多い。本研究ではHopE1・カルモジュリン・MAP65複合体の立体構造解析を基盤として、病原細菌の感染戦略を分子レベルで明らかにすることを目指す。 2022年度はシロイヌナズナ由来のカルモジュリンとMAP65の精製を完了した。またMAP65はN末側に2量体化領域、ヘリックスバンドルドメイン、C末端には塩基性残基に富んだ天然変性領域からなる。この構造情報に基づき変異体を作成した。さらにHopE1とMAP65の相互作用の解析を行い、MAP65の微小管結合領域がHopE1との相互作用に関わることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HopE1とMAP65の相互作用領域を決定できたのは大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
HopE1単体およびMAP65、カルモジュリンとの相互作用を立体構造解析するためHopE1の大量調製を行う。現在大腸菌を用いた発現系を利用して組み換えタンパク質の調製を行っているが、生化学的実験を行うに足る量しか精製できていない。Pichia発現系の利用も視野に入れて、立体構造解析に足るタンパク質調製を行う。またHopE1単体の立体構造はalphaFoldにより推定しており、このモデルをもとに変異体作成と分子間相互作用の解析を行う。
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