研究課題/領域番号 |
22K05393
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 新潟工科大学 |
研究代表者 |
仁平 高則 新潟工科大学, 工学部, 准教授 (80615469)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ホスホリラーゼ / 酵素探索 / 糖質 / ライブラリー / β-ガラクトシド / 糖代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
嫌気性微生物は,酸素を利用した効率的なATP生産を行なえないため,ATP消費無しに糖質を分解・リン酸化できるホスホリラーゼを鍵酵素とした特徴的な糖代謝経路を有することがある。本研究では,グルコースやマンノースとならび多くの生物種が利用可能なガラクトースの重合体であるβ-ガラクタンや寒天などのβ-ガラクトシドに作用するホスホリラーゼを,ゲノム情報やメタゲノムライブラリーを利用して網羅的に探索し,発見した酵素の機能特性を明らかにする。これにより,ホスホリラーゼを鍵酵素とする新規ATP消費抑制型β-ガラクトシド代謝経路の全容を解明し,嫌気性微生物の生存戦略の一端について新たな一石を投じる。
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研究実績の概要 |
嫌気性微生物は,酸素を利用した効率的なATP生産を行なえないため,ATPの消費無しに糖質を分解・リン酸化できる糖質加リン酸分解酵素(ホスホリラーゼ)が関与する特徴的な糖代謝経路を有することがある。本研究では,ゲノム情報やメタゲノムライブラリーなどを利用しβ-ガラクトシドに作用するホスホリラーゼを網羅的に探索し,発見した酵素の機能特性を明らかにし,ホスホリラーゼを鍵酵素とする新規ATP消費抑制型β-ガラクトシド代謝経路の全容を解明を目指す。 当年度は,(1)ゲノム情報を基盤とした網羅的なホスホリラーゼ探索,(2)ゲノムライブラリーおよびメタゲノムライブラリーを用いたホスホリラーゼ遺伝子のスクリーニングについて検討を加えた。ゲノム情報から系統解析を行なうことにより既知酵素から進化学的に遠い遺伝子に注目し,網羅的にホスホリラーゼホモログ遺伝子を検索・クローニングしたが,残念ながら新規酵素の発見に至らなかった。またガラクトースリン酸化酵素以外のガラクトース代謝関連酵素の周辺遺伝子に着目し機能未知のタンパク質遺伝子のクローニングおよびタンパク質発現を行なったが,新規酵素の発見には至らなかった。さらに,ホスホリラーゼ遺伝子を多く持つ微生物のゲノムDNAおよび環境中から回収したヘテロなゲノムDNAから昨年度調製したゲノムライブラリーおよびメタゲノムライブラリーを用いて,ホスホリラーゼホモログ遺伝子のスクリーニングを遂行した。しかし,こちらに関しても新規ホスホリラーゼ遺伝子の取得には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,既知遺伝子情報からのホスホリラーゼホモログ遺伝子のクローニングおよびゲノムライブラリーからの遺伝子のスクリーニングにより,β-ガラクトシドに作用するこれまでに知られていないホスホリラーゼの発見を目指し,当年度も昨年度に引き続きゲノム情報を基盤とした網羅的なホスホリラーゼ探索を遂行した。ガラクトースリン酸化酵素以外のガラクトース代謝関連酵素の周辺遺伝子に着目し機能未知のタンパク質遺伝子のクローニングおよびタンパク質発現を行なったが,新規酵素の発見には至らなかった。また,昨年度調製したゲノムライブラリーおよびメタゲノムライブラリーを用いてホスホリラーゼホモログ遺伝子のスクリーニングを試みたが,こちらに関しても新規ホスホリラーゼ遺伝子の取得には至らなかった。以上のことから,本研究課題の進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,遺伝子情報から網羅的にホスホリラーゼホモログ遺伝子のクローニングおよびゲノムライブラリーおよびメタゲノムライブラリーを用いたホスホリラーゼホモログ遺伝子のスクリーニングを遂行する。スクリーニング条件やタンパク質発現条件などの変更により,新規酵素遺伝子の取得を目指す。また当初目的としたβ-ガラクトシド以外の糖質に作用するホスホリラーゼについても検討し,探索範囲を拡大する。新規酵素が発見された際には,詳細な酵素学的,反応速度論的解析を進め,大量発現可能なものに関しては構造学的解析への展開も目指す。
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