研究課題/領域番号 |
22K05394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
井口 博之 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 准教授 (30712020)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 概日時計 / 植物共生細菌 / 時計遺伝子 / 環境応答 / 光合成 |
研究開始時の研究の概要 |
植物表層に生息する微生物は、そこに存在する多様なストレスへ対処していることが知られているが、昼夜に応じた表層環境の規則的な変化(日周変動)への適応能力は不明である。本研究では、細菌に分布する時計遺伝子kaiCオルソログが日周変動する環境への適応の機能を持っているのではないかと考え、植物共生細菌Methylobacterium属が保有する本遺伝子の生理機能や制御機構を研究することにより、時計遺伝子オルソログの葉圏と根圏における働きを明らかにする。
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研究実績の概要 |
光合成を行うシアノバクテリアは時計遺伝子kaiCなどを使って遺伝子発現を調節し、昼夜の日周変動に適応している。このkaiCのオルソログが光合成の知られない細菌に分布しているが、その機能や制御機構は不明であった。そこで我々は日周変動の影響を大きく受ける植物環境に生息するMethylobacterium属細菌において、植物上(葉と根)でのkai遺伝子の機能および制御機構の解明を目指して研究を進めた。 (1)葉面細菌M. extorquensが持つ制御因子KaiRの機能: 昨年度に、制御因子と推定されるKaiRが、KaiCと相互作用を持つことを明らかにした。次にKaiRの制御下にある遺伝子を明らかにするため、kaiR遺伝子破壊株を用いてRNA-seqを行い、野生株との比較を行うことで被制御遺伝子の候補を抽出した。さらに個々の候補遺伝子に対して定量RT-PCRを行い転写レベルを確認した。 (2)根圏細菌M. nodulansのkaiCが応答する環境因子: 本菌のkai遺伝子機能や制御機構の端緒を明らかにするため、kaiCが応答する因子を探索した。光、温度、化学物質などの刺激を与え、前後での転写量の変化を定量RT-PCRにより調べた。また、本菌のKaiCが他菌のKaiCと同様にリン酸化するのかどうかをPhos-tag SDS-PAGE + western blottingにより調べた。 (3)M. extorquensの光合成機能 本菌はバクテリオクロロフィル(Bchl)遺伝子を保有しているが、その機能は不明である。もし光合成機能があるならば、同様に光(昼夜)に関わるkai制御系との関わりを明らかにしたいと考え、まず昼夜環境下でBchl遺伝子発現とBChl生産を測定した。続いてBchl遺伝子破壊株を作成し、BChlの機能を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
M. extorquensのRNA-seqを行ったが、KaiR制御下にある遺伝子を見つけることができず、制御機構の研究を先に進められずにある。次年度に培養条件を変更して再度RNA-seqを計画している。またバクテリオクロロフィル研究に想定以上に時間をとられたため、M. nodulansの研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)M. extorquensについて: 検討により決定した培養条件、RNA抽出方法でRNA-seq解析を再度行い、KaiR制御下にある遺伝子候補を抽出し、個々の候補遺伝子について定量RT-PCRにより追加の確認を行う。続いて、それら遺伝子のkai機能やkai制御系への関わりを調べていく。また葉上での昼夜において、KaiCリン酸化状態や、KaiR制御下にある遺伝子の発現レベルの変化を調べる。バクテリオクロロフィルについても葉上での遺伝子発現・生産および、kai制御系との関わりを調べる。 (2)M. nodulansについて: kaiCのストレス耐性への関与や、根上での機能について調べる。
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