研究課題/領域番号 |
22K05399
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
園木 和典 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (20502264)
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研究分担者 |
樋口 雄大 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (70880045)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | lignin / cis,trans-isomerase / Pseudomonas / robustness |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,Pseudomonas属細菌のリグニン由来芳香族化合物への耐性に関わる脂肪酸シス/トランス異性化反応の調節機構を明らかにする。これまでの解析から, 脂肪酸シス/トランス異性化機能はリグニン由来芳香族化合物への耐性に関わるものの, その恒常的な発現はリグニン由来の芳香族化合物存在下での生細胞数減少を引き起こしたことから, 厳密な調節機構の存在が示唆された。本研究により脂肪酸シス/トランス異性化機能の調節機構を解明することで,リグニン由来芳香族化合物への耐性に関わる機能を,本来耐性が低い微生物種にも適用することが可能になる。
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研究実績の概要 |
本研究ではPseudomonas属細菌のリグニン由来芳香族化合物への耐性に関わる脂肪酸シス/トランス異性化反応を調節する仕組みを明らかにすることを目的としている。これまでにPseudomonas sp. NGC7株のリン脂質に含まれるcis-不飽和脂肪酸 (cUFA) 構造がリグニン由来の芳香族化合物濃度の上昇に応答してtrans-不飽和脂肪酸 (tUFA) 構造へと異性化されることを明らかにした。cUFA構造の異性化反応は, ペリプラズム空間に局在するesterified fatty acid cis,trans-isomerase (Cti) がリン脂質の疎水性コアにアクセスして進行することが提唱されている。cti遺伝子を保有するNGC7株においてもCtiによって進行するcUFA構造の異性化反応がリグニン由来芳香族化合物濃度の上昇に応答することでその環境に瞬時に順応して増殖を続けることができることを明らかにした。 次に, cti遺伝子をNGC7株にプラスミドで導入して恒常発現させ, リグニン由来芳香族化合物への耐性に対する効果を評価した。その結果, リグニン由来の芳香族化合物が一定濃度以上になると, cUFAの異性化はより進行し, 生細胞数は減少していくことが観察された。リグニン由来芳香族化合物に対するNGC7株のcti遺伝子の発現レベルを測定した結果, cUFA構造の異性化反応に関わるcti遺伝子の発現は低レベルに維持されていることが示された。これらの結果から, cti遺伝子はリグニン由来芳香族化合物に対して瞬時に順応する機能をNGC7株に与えるものの, その発現はリグニン由来の芳香族化合物に応答して上昇しないこと, また, 発現上昇は過度のcUFA構造の異性化を引き起こし, その結果リグニン由来芳香族化合物に対する耐性を低下させることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リグニン由来芳香族化合物への耐性に関わる脂肪酸シス/トランス異性化反応を調節に関わる因子を明らかにし, おおよそ計画に沿った進行をしているため。
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今後の研究の推進方策 |
大腸菌などcti遺伝子を持たない細菌株にcti遺伝子を組込み,そのコピー数と発現量の変化がリグニン由来芳香族化合物など疎水性部分を含む化合物に対する耐性に与える効果を検証し,本研究を総括する。
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