研究課題/領域番号 |
22K05403
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
舟根 和美 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90353953)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | サイクロデキストリン / 環状イソマルトオリゴ糖 / グルカンスクラーゼ / デキストランスクラーゼ / 環状イソマルトオリゴ糖グルカノトランスフェラーゼ / サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ / 微生物 / ゲノム編集 / リボゾーム工学 / 糖質関連酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
環状イソマルトオリゴ糖(CI)はグルコースが輪になって連なった形状の安全性の高い水溶性のオリゴ糖である。CIは抗プラーク活性(歯垢形成阻害作用)に加えて、水に溶けにくい有用食品機能成分を溶かす可溶化能を有する多機能オリゴ糖である。特に分岐を持つアンカー型CIは可溶化能が高いが微量成分である。このたび一部の乳酸菌が生産するグルカン合成酵素がCIに分岐を導入することを明らかにしたので、本課題では、乳酸菌が持つ複数のグルカン合成酵素遺伝子をゲノム編集でアンカー型CI生産用に改変し、さらにリボゾーム工学法で目的酵素の生産性を向上させ、アンカー型CI合成に適した乳酸菌を作出することを目指す。
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研究実績の概要 |
Paenibacillus sp. 598K 株は澱粉からCDとCIを生産する菌株であるが、CIよりもCDの生産量が圧倒的に多い。本菌株を澱粉原料から効率よくCIを生産する菌株に改良することを目的として、CD合成酵素(CGTase)をコードする遺伝子である2454 geneを相同組み換えによって遺伝子破壊することを計画した。まず、598K株に導入するための変異プラスミドの構築を試みた。CGTase 遺伝子の上流および下流領域をPCRで増幅し、それらを繋ぎ合わせることでCGTaseの活性中心部分を取り除いた変異DNA断片を作成した。pMADを用いて遺伝子破壊ベクターの構築を試みたが、シーケンス解析の結果から、目的の変異プラスミドを得ることができなかった。 不溶性グルカンを生産する乳酸菌であるLeuconostoc citreum S-32株は3種類のグルカンスクラーゼ遺伝子を有するが、これまではそのうちどれが環状イソマルトオリゴ糖に分岐(アンカー)を転移する酵素であるか不明であったが、このうちLOCUS_14650遺伝子産物を解析した結果、この組換えタンパクはスクロース分解活性を持ち、不溶性グルカンを生産するグルカンスクラーゼであると推定された。本酵素を用いてCIへの分岐鎖導入反応を行いHPLC分析を行った結果、アクセプタ基質であるCIと異なるピークを確認することが出来た。CI-7には分岐鎖が2つあるいはグルコ2糖からなる分岐鎖が1つ結合し、CI-8については分岐鎖が1つ結合したアンカー型CIが生産されたことが示唆された。この分岐鎖の結合様式については組み換え酵素の生産するグルカンの大半がα-1.3結合であると推定されることから、グルコース鎖がα-1.3結合でCIに結合している可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Paenibacillus sp. 598K株のCGTase遺伝子破壊実験については、遺伝子破壊ベクターの構築から困難な状況である。Leuconostoc citreum S-32株については、これまで推定アミノ酸配列から破壊すべきグルカンスクラーゼ遺伝子を決めていたが、このたび残すべき遺伝子がLOCUS_14650遺伝子であることを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きpMADベクターを用いてPaenibacillus sp. 598K株のCGTase遺伝子破壊を進めていく。Leuconostoc citreum S32株については、LOCUS_14650遺伝子がコードするグルカンスクラーゼがCI-7およびCI-8にアンカーを導入することを、アクセプタ反応生成物を分離精製して質量分析やNMR分析で明らかにする。
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