研究課題/領域番号 |
22K05412
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
丸山 千登勢 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (20452120)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 二次代謝 / 非タンパク性アミノ酸 / 生合成 |
研究開始時の研究の概要 |
ペプチド系化合物は、有用な生理活性を示すだけでなく、その化学構造に産業上重要な非タンパク性アミノ酸(NPAA)を含むことも特徴のひとつである。放線菌は、有機合成が難しいNPAAを驚くほど巧みに創り出している。NPAAは、医薬品の合成中間体原料として重要であり、またNPAAを生合成する酵素は、臨床診断用酵素としても応用利用が期待できる。本研究課題では、放線菌が生産するNPAA含有ペプチド系化合物について、その生合成機構を解明し、これら生合成酵素を臨床診断用酵素として利用するための基盤技術を確立する。
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研究実績の概要 |
ペプチド系化合物は、有用な生理活性を示すだけでなく、その化学構造に産業上重要な非タンパク性アミノ酸(NPAA)を含むことも特徴の一つである。放線菌は、有機合成が難しいNPAAを驚くほど巧みに創り出している。その生合成機構を解明することは、「産業上の重要性」だけでなく、酵素反応機構を解き明かす生合成研究の醍醐味でもある。放線菌が生産する抗生物質resormycin(RM)は、特徴的な3つのNPAAから成るトリペプチド化合物である。これらのNPAAは、医薬品の合成中間体原料として重要であり、またNAPPを生合成する酵素は、臨床診断用酵素としても応用利用が期待できる。 さらにNPAAの最大の魅力は、その化学構造と物性に起因するユニークな生理活性であり、また合成化学における重要な中間原料としての役割も大きい。NPAAを活用したペプチド創薬は、構造多様性を与えるだけでなく、プロテアーゼによる分解を阻害するなどの知見から、今後さらにNPAAの需要が拡大すると考えられる。またNPAA生合成酵素は、基質アミノ酸に特異的な反応を触媒することから、様々な疾病に起因する血中アミノ酸濃度変化を迅速測定するための臨床検査への応用が期待される。そこで申請者らは、NPAAの新たな探索資源および臨床上有用なアミノ酸修飾酵素の探索資源として、微生物が生産するペプチド系二次代謝産物の多様性に着目した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までの研究成果から、RM構造内のPhe誘導体における2箇所の水酸化は、Pheを基質として、Phe-4-水酸化酵素に相同性を示すOrf8が触媒することを明らかにした。そこで次に、Valの水酸化に関わる酵素遺伝子を探索し、2つのMBL fold metallo-hydrolaseに相同性を示す酵素遺伝子、orf7とorf16に着目した。高い相同性を示すこの2つの酵素がどのような役割を担いわけているのか、非常に興味が持たれた。そこで、これらについて遺伝子破壊実験を行い、生合成中間体の検出を試みた。 またRMが有するもう一つのNPAAであるβ-hLysの生合成については、昨年までに生合成に関与することを明らかにした7つの酵素遺伝子について解析を進めた。その結果、出発物質であるArgが脱アミノ化され、オキソ酸へと変換されたのち、クエン酸生合成酵素のホモログ酵素群の触媒により炭素鎖伸長される新規生合成経路を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
クエン酸生合成酵素のホモログ酵素群の解析において、一部の酵素は組換え酵素を用いたin vitro反応が可能であり、β-hLysの生合成中間体の同定に成功したが、遺伝子破壊実験においては生合成中間体を検出することができなかった。その理由として、生合成中間体が菌体から放出されない可能性が考えられた。また、生合成経路の全貌解明には、7種類全ての組換え酵素が必要であると考えられるが、そのいくつかは活性型酵素を得ることができなかった。そこで今後の研究では、関連する酵素遺伝子のin vivo発現系を構築し、微生物変換法による解明を試みる。しかしながら、先にも記載した通り、生合成中間体の今体以外排出が困難な可能性も考えられることから、反応生成物の解析には検討が必要と考えている。
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